ベラルーシ大統領選まで1週間 揺らぐ独裁者、女性候補に支持結集

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チハノフスカヤ氏 (ロイター)

チハノフスカヤ氏 (ロイター)

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアの隣国、ベラルーシで9日に予定される大統領選(任期5年)まで1週間となった。主要な反体制派候補が排除され、現職のルカシェンコ大統領(65)が無風で6選を果たすとみられたが、ここにきて異変が起きている。政権が「脅威にあらず」と考えて出馬を認めた女性候補に反体制派の支持が結集され、うねりとなっているのだ。「欧州最後の独裁者」と称されるルカシェンコ氏には大きな誤算となった。

 ルカシェンコ氏との一騎打ちを演じているのは、人気ユーチューバーの夫を持つチハノフスカヤ氏(37)。夫が治安当局に拘束されたことから代理として急遽(きゅうきょ)出馬し、独裁打倒を訴えている。

 より有力とみられていた反体制派候補2人は7月中旬、中央選管によって「要件を満たさない」として立候補を却下されたが、チハノフスカヤ氏は出馬を認められた。排除された2候補の陣営はチハノフスカヤ氏支援に回り、結果的に同氏が反体制派の強力な統一候補となった。

 首都ミンスクでは7月30日、チハノフスカヤ氏を支持する集会に6万人以上(独立系団体集計)が参加。26年間にわたり強固な独裁体制が築かれてきたベラルーシでは異例の事態で、ロイター通信は「人口950万人の国で、1991年のソ連崩壊以降で最大の集会となった」と報じた。同氏を支持する運動は地方都市でも大きな盛り上がりを見せている。

 ルカシェンコ氏は94年から大統領の座にあり、国民の間では長期化する独裁や経済不振への不満が強まっている。同氏が新型コロナウイルス感染症について「ウオッカを飲めば予防できる」などと主張し、何ら対策をとらなかったことも反政権機運を増幅させた。

 こうした情勢下で7月29日、プーチン露大統領に近い民間軍事会社(PMC)「ワグナー」の要員33人がベラルーシで治安当局に拘束され、波紋を広げている。同国治安当局は、多数のワグナー要員が大統領選の攪乱(かくらん)を狙って国内に潜入したと発表。ロシアは、これらの要員が経由地としてベラルーシに滞在していただけだと主張している。

 プーチン露政権は、両国の「統合深化」に難色を示してきたルカシェンコ氏に嫌悪感を抱く一方、ベラルーシの反体制派には欧米への親近感が強いことを警戒している。

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