ウクライナ軍の反撃、ヘルソンは来春まで理想的な敵の殺害エリアになる

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英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)は2日、ヘルソンで開始された反撃と今後の展望について「ウクライナは相反する3つの要求のため反撃を開始、ロシアは来春までに西側支援を断ち切ることに全力を傾けるだろう」と主張した。

前線を押し上げて分散したロシア軍を限定されたエリアに押しやれば理想的な殺害エリアを設定できる

ウクライナやロシアにとって冬の到来は様々な意味を含んでおり、ウクライナは受けった武器や装備がロシア軍との戦いに役立っていると証明し、ロシア軍が戦いの主導権を再び取り戻せないよう継続的なダメージと混乱を与え、究極的には国内からロシア軍を叩き出すという相反する3つの要求に応えるため「ヘルソンで限定的な反撃を開始した」とRUSIは指摘しており、喫緊の課題は「本格的な冬」が到来する前に受け取った支援の有効性を西側諸国に示しておかなければならない。

ウクライナ軍の反撃、ヘルソンは来春まで理想的な敵の殺害エリアになる

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. William Chockey

ウクライナはロシア軍と戦うための資金や武器を欧米に依存しているため、ロシアにとっての勝利の方程式は「来春までに西側支援を断ち切る」ことにあり、特に欧州諸国はロシア産エネルギー資源を失ったまま冬を乗り越えなければならず、RUSIは「多額の資金をウクライナ支援に拠出する政府批判を高めるためロシアがプロパガンダを全力で展開してくる=その資金を冬場のエネルギー確保に回せという世論を煽る」と予想している。

つまり冬場に忍耐を要求される欧州諸国から継続的な支援を引き出すため、ウクライナは何としても冬が到来する前に「受けった武器や装備がロシア軍との戦いに役立っている」と見せつけておく必要があり、前進が鈍ってきたロシア軍に同調して活動レベルを下げれば「敵の戦力回復」を許すことになるため、ロシア軍が継続的に消耗する戦場を設定して誘導しなければならない。

ウクライナ軍の反撃、ヘルソンは来春まで理想的な敵の殺害エリアになる

出典:Google Map ヘルソン地域の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

その点でヘルソン州の北岸地域はドニエプル川によって地上輸送が物理的に隔離され、たった2ヶ所しかない橋の交通量を攻撃でコントロールすれば流入する物資量を管理できるため、長期間に渡りロシア軍をいたぶることができ、前線を押し上げて分散した敵を限定されたエリアに押しやれば「理想的な殺害エリアを設定できる=リシチャンシクの逆をロシア軍に強いることが出来る」とRUSIは指摘しているが、現時点でウクライナ軍がヘルソン市の奪還までは計画していないだろうとも付け加えている。

ロシア軍にとってヘルソン市は侵攻初期にほぼ無傷で手に入れた都市の1つで、政治的にも重要な意味をもつヘルソン市を「善意のジェスチャー」で簡単に放棄するとは考えにくく、ヘルソンで開始された反撃の目的は「受け取った支援の有効性を示すこと」「継続的なダメージと混乱を与えこと」の2点に限定されており、RUSIは「もっと広範囲の反撃は十分な規模の機械化部隊が揃う2023年春以降に行われ、現段階でもっとも重要なのは活動が低下する冬場にロシア軍の戦力を削り続けることだ」と主張。

ウクライナ軍の反撃、ヘルソンは来春まで理想的な敵の殺害エリアになる

出典:Головнокомандувач ЗС України 榴弾砲M777を使用するウクライナ軍の様子

そのため市街戦を伴うヘルソン市の奪還を急ぐ意味がなく、ロシア軍が寒さや補給不足で自滅してドニエプル川を渡って逃亡しない限り、ヘルソン市周辺や一部の北岸地域は意図的に「理想的な殺害エリア」として維持されるだろうという意味だ。

ただロシア軍も前線のポジションを改善して「より防御に有利な位置で冬を越したい=春までの小競り合いで消耗する戦力を最小化」したいと考えており、この辺りの思惑が今後の戦いにどう反映されるかが見どころと言えるのかもしれない。

ウクライナ軍の反撃、ヘルソンは来春まで理想的な敵の殺害エリアになる

出典:President Of Ukraine

因みにRUSIは「支援量が積み上がることで何らかの成果を期待する世論の圧力からゼレンスキー政権を守るため、定期的に発表する提供装備のリスト公開を止めるべきだ。政治的な圧力に屈して短期的な利益を上げるため長期的な利益を犠牲する要因を取り除き、国際世論にもっと現実的な期待を抱かせてロシアのプロパガンダに対する脆弱性を減らすことが出来る」とも指摘している。

国内からロシア軍を叩き出すという長期的な目標とは別に、一定の戦果を提供しつづけなければ国際的な関心の低下=ウクライナへの支持低下を招くため、目先の派手な戦果を得るのに無駄な戦力を消耗しているという意味だろう。

RUSIの指摘や予想が当たるかどうかは別にしても何とも興味深い話だ。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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