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イジュームの虐殺についてロシア人アナリスト達は「墓地に埋葬されている人々が『何時どのように死んだのか』を気にせずロシア軍が犯人だと決めつけている」と反論、しかし墓地に埋葬された遺体は全て2月24日以降のもだと現地住民が証言している。

侵攻以前に存在した墓地を掘り返してロシア軍のせいにしている？いいえ、2月24日以降にロシア軍の攻撃で死んだ人々です。

侵攻当初のロシア人アナリスト達は「キーウ政権に虐げられた露系住民を救うためウクライナの非武装化と非ナチ化を実行するのだ」と気分良く叫んでいたが、ブチャでロシア軍兵士によるジェノサイドが確認されると「ロシア軍の信用を傷つける目的でウクライナや西側諸国が作り上げたフェイクだ」と強弁、解放されたイジュームでブチャを越えるジェノサイド発生が確実視されると「Bucha2.0による挑発でロシアに対する情報戦が激化している証拠だ」と主張している。

出典：Володимир Зеленський

ロシア人アナリストのコルニーロフ氏は「この手の作り話は原始的で簡単に反論できる。西側諸国の一致した反応は墓地に埋葬されている人々が『何時どのように死んだのか』を気にせずロシア軍が犯人だと決めつけている点で、この判決だけがウクライナで行われているキャンペーン全体の戦略に合致しているからだ」と述べており、恐らく「侵攻以前に存在した墓地を掘り返してロシア軍のせいにしている」と言いたいのだろう。

しかし問題の墓地がロシア軍占領下で発生したことを裏付ける証言が登場した。

出典：Володимир Зеленський

イジュームの葬儀屋で営むヴィタリイ氏は「侵攻後から9月の解放までに750体近くの遺体を埋葬し、内445体をシェイクスピア墓地（イジューム郊外の松林で見つかった集団墓地の通称）に埋葬した。一部の例外を除けば遺体の殆どは民間人だ」と仏Le Monde紙に証言、さらに「2月の攻撃で街の通りは死体だらけになり、3月中旬に砲撃が命中した建物跡から114人分の遺体が見つかったことを覚えている」と付け加えている。

3月末までにイジュームを占領したロシア軍は当初、街の至るところに横たわる遺体について「我々がやるので一切触るな」と命令してきたが、街を南北に隔てる橋が破壊されていたため遺体を1体づつ板張りの橋を渡って運搬する必要があり、ロシア軍は自分たちで遺体を処理することを諦めヴィタリイ氏の葬儀屋に処理を行う許可を出したらしい。

ただ死体の埋葬場所は街の墓地ではなく「ロシア軍が埋葬を管理するため基地を構えていた郊外の松林を指定してきた」とヴィタリイ氏は証言しているので、墓地に埋葬されているのは「2月24日以降にロシア軍の攻撃で死んだ人々」だ。

シェイクスピア墓地で発掘された遺体の中には両手を縛られたもの、首にロープが巻かれたもの、性器が切り取られたものなどがあり、イジューム警察の建物地下では監禁室や拷問室が発見され、ロシア軍が作成したものと見られる容疑者リストや拷問器具も回収されている。

出典：Сергій Болвінов

いくら証拠や客観的事実を積み上げても「ウクライナや西側諸国が作り上げたフェイクだ」とロシア側は主張するので、これらの調査にどけだけの効果があるのは謎だが、ロシア人アナリスト達は「冷戦終結後に採用された『ある種の紳士協定（恐らく戦争犯罪に該当する行為）』をロシアは今でも守っている、ロシアはウクライナとは違い子供を殺したり、捕虜を拷問したり、民間人を殺したりしない」と述べており、もはや同じ次元の現象を観測しているとは思えない。

因みにロシア人アナリストのコルニーロフ氏は国民への脅威が増しているため「民間向けや軍事向けと区別できないインフラや意思決定機関、ロシアへの敵対政策を追求する国に対して決定的な行動をとらなければならない。国家の存亡に関わる脅威が生じれば『最も厳しい答え』を出す必要がある」とも訴えている。