緊張が高まる南コーカサス、アゼルバジャン、アルメニア、イランは一触即発の状況

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アルメニアとイランの国境沿いに建設が予定されているザンゲズール回廊を巡ってアゼルバジャン、アルメニア、イランの3ヶ国は一触即発の状況で、全ての国が国境沿いに軍を配備し始めている。

ザンゲズール回廊に反対するイランが国境地域で軍事的緊張を煽り、これに対応するためアゼルバジャンもアルメニアも軍を動かす

ナゴルノ・カラバフ紛争の停戦協定にはアルメニアとナゴルノ・カラバフを結ぶ「ラチンを経由しない新ルートの建設と提供」が盛り込まれており、この新しい回廊には検問が設置されないためアルメニアとナゴルノ・カラバフ間の自由な往来が保障されているのだが、この停戦協定にはザンゲズール回廊の設置も盛り込まれている。

緊張が高まる南コーカサス、アゼルバジャン、アルメニア、イランは一触即発の状況

出典:Google Map 管理人作成(クリックで拡大可能)

ザンゲズール回廊とはアゼルバイジャン本領と飛び地のナヒチェヴァン自治共和国を結ぶ道路や鉄道のことを指しており、この回廊も検問が設置されないためアゼルバイジャンとトルコはナヒチェヴァン経由で自由に往来が可能になる上、国境に沿って回廊が設置されるとアルメニアとイランの交通が分断される=恐らく回廊の管理権限がアゼルバイジャンに与えられるため「ザンゲズール回廊の設置はアルメニア国境の変更だ」とイランは主張。

イランの最高指導者ハメネイ師も「ザンゲズール回廊が設置されると非友好国のトルコとアゼルバイジャンに囲まれる」と難色を示し、アルメニアは停戦協定で義務付けられた回廊設置を半ば放棄、停戦協定の履行を保証したロシアも何の措置も講じないため「自力でナヒチェヴァン自治共和国までの道を確保する」とアゼルバイジャンは公言していたが、両国は「領土の相互承認」が含まれる和平条約の締結に向けて動きだしたためザンゲズール回廊の設置が現実味を帯びてきた。

緊張が高まる南コーカサス、アゼルバジャン、アルメニア、イランは一触即発の状況

出典:イランメディアのスクリーンショット アラス川の渡河訓練

この動きを阻止するためイランはアゼルバジャンとの国境地域で軍事的緊張を高めており、昨年10月にはアゼルバジャンとの国境から数mしか離れていないアラス川周辺で大規模な軍事演習を実施、両国の国境として機能するアラス川の渡河訓練は「アゼルバイジャン領への侵攻=アルメニア国境の変更を強行するなら武力を行使してでも阻止する」という意味なので、アゼルバイジャン側も「アルメニアとの国境策定交渉に何の権利があってイランが干渉するのか?今回の演習は我々に対する力の誇示=事実上の脅しなので容認できない。演習がやりたければインド洋沿岸やキーシュ島でやれ」と鋭く反発。

さらにイランはザンゲズール回廊の建設が予定されているアルメニアのシュニク地方に総領事館を開設、総領事に任命されたバラミン氏は「アルメニア国境の変更は絶対に容認できない。アルメニアの安定のために我々はここにやって来た」と述べ、イラン議会のサファイ議員もIRNAに対して「シオニスト(ユダヤ民族主義者)は南コーカサスや中央アジアにおけるイランの影響力を弱体化させようとしている。特にアルメニアの国境変更はイランの国益に反するので絶対に容認しない。今回の演習は我々の利益を損なおうとする行為に大きな犠牲が伴うことを伝えるために実施した」と言及。

今年1月にはテヘランのアゼルバジャン大使館で銃撃事件(1名が死亡/2名が負傷)が発生、アリエフ大統領は「大使館を襲撃した実行犯や襲撃を指示した者が裁判にかけられない限り両国の関係正常はない」と語っていたが、イランは国境上空で軍用機による強行偵察、ナヒチェヴァン自治共和国を含む全ての国境検問所を閉鎖、イスラム革命防衛隊に近いメディアがアゼルバイジャンの標的に向かうShahid-136の動画を公開してアゼルバジャンを挑発。

これに対応するためアゼルバジャンはイランとの国境近くに軍を配備し始めており、無関係ではいられないアルメニアもアゼルバジャンとの国境に軍を配備し、イラン、アゼルバジャン、アルメニアの3ヶ国は一触即発の状況だと言われている。

緊張が高まる南コーカサス、アゼルバジャン、アルメニア、イランは一触即発の状況

出典:Public domain 南北輸送回廊

一方でロシアのプーチン大統領は「アゼルバイジャンやイランが南北輸送回廊の建設加速に同意した」と明かしており、モスクワ~アゼルバイジャン~イラン~インドを繋ぐ全長7,200kmの複合輸送網(道路、鉄道、船舶)の実現に力を入れているが、現在のアゼルバジャンとイランの関係を考えると南北輸送回廊が実現するとは到底思えない。

管理人には何をどうすれば状況を打破できるのかさっぱり思いつかない

アルメニアのパシニャン首相は14日「2020年の戦争でアゼルバイジャンに負けたのは我々の軍隊に第五列がいたからだ」と述べて注目を集めている。

緊張が高まる南コーカサス、アゼルバジャン、アルメニア、イランは一触即発の状況

出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

パシニャン首相は「多くの事実を分析してそう確信した。この事実が近い将来公開されれば私の発言が正しいと証明されるだろう。真実は我々自身を傷つけるかもしれないが目をそらす方が遥かに有害だ」と述べており、50人以上の陸軍将校などがスパイ行為や反逆罪で告発されているらしい。

但し、パシニャン首相はナゴルノ・カラバフの状況を打開するため「アゼルバイジャンとの再戦」を望んでおらず、アルメニアの安全を保証するためアゼルバイジャンとの和平交渉(戦争に負けたもののアゼルバイジャンの要求を丸呑みすることは拒否するとも言及)や周辺国との関係改善が必要だと主張しており、ロシアが主導する集団安全保障条約機構(CSTO)が機能しないことも分かっていると述べている。

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出典:CSTO

アルメニアは2022年9月に勃発した軍事衝突で領土の一部をアゼルバイジャンに不法占拠(両国は互いの領土を承認していないため国境が策定されていない)されており、ロシアはウクライナ侵攻に手一杯、他の加盟国も同問題に関わるのに消極的だったためCSTOは問題解決に動かず、アルメニアは安全保障の後ろ盾をロシアから米国に変更する動きを見せている。

エレバンを訪問したペロシ米下院議長は「アルメニアの領土保全、主権、民主主義は我々にとって価値のあるものだ」と述べ、この訪問に随行したパローン議員も「アルメニアの安全保障がロシアとの取り決めの一部であることは承知しているが、米国はアルメニアの安全保障を非常に懸念している。我々に出来ることは何でもしたい」と主張しているが、アゼルバイジャンとの紛争を法的に解決しないかぎり米国と安全保障に関する協議を行うことは出来ない。

緊張が高まる南コーカサス、アゼルバジャン、アルメニア、イランは一触即発の状況

出典:NEWS AM アゼルバイジャンとの和平交渉に反対する国民

アゼルバイジャンとの紛争を法的に解決するには和平条約を締結する必要があり、そうなるとザンゲズール回廊の建設問題でイランと衝突することになり、南コーカサスで影響力を維持したいロシアもアルメニアが米国に乗り換えることを容認するはずがなく、そもそも国民が領土の相互承認が含まれるアゼルバイジャンとの和平条約(ナゴルノ・カラバフがアゼル領の一部であることを承認するという意味)締結に反対してるため、八方塞がりの状態だ。

アゼルバイジャンとの和平条約締結を進めればザンゲズール回廊の建設を巡ってイランとアゼルバイジャンの戦争に巻き込まれる可能性が高く、和平条約を締結しなければ軍事的に優位なアゼルバイジャンの脅威に晒され続け、ザンゲズール回廊の実現のためアゼルバイジャンが武力に訴えてくる可能性があり、安全保障の後ろ盾を役に立たないCSTOから米国に乗り換えるためにはアゼルバイジャンとの和平条約を締結する必要がある。

管理人には何をどうすれば状況を打破できるのかさっぱり思いつかない。

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※アイキャッチ画像の出典:Tasnim News Agency/CC BY 4.0

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