ウクライナでのパンター製造は現実的なのか? それとも非現実的なのか?

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独ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者は「ウクライナでパンターを製造する計画を話し合っている」と明かし注目を集めたが、この計画について米ディフェンスメディアは「不可能ではないものの計画には様々な落とし穴がある」と報じている。

レオパルト2A7やMGCSの競合になりかねないラインメタル単独の計画、これにドイツが承認を与えることは政治的リスクが高い

独ラインメタルのパッパーガー最高経営責任者は3月上旬「ウクライナと2億ユーロの投資を必要とする戦車工場の建設計画を話し合っている。この工場ではパンターを年間400輌も生産することが可能だ」と明かして注目を集めたが、米戦略国際問題研究所のマーク・カンシアン上級顧問は「年間400輌の生産能力をもつ戦車工場に2億ユーロというのは投資額が少なすぎる上、パンターの寿命を20年と過程すると年間400輌ではなく年間40輌程度の調達が現実的だ」とラインメタルの計画に懐疑的な声を上げている。

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さらにウクライナは現在、種類の異なる戦車(エイブラムス、チャレンジャー2、レオパルト2、T-72、PT-91など)を導入しているためメンテナンスや兵站にかかる負担が大きく、ここにパンターを追加するのは「問題を悪化させるだけ」と指摘しており、手持ちのT-72をアップグレードするか、アップグレード作業を行う工場新設に2億ドルを投資したほうが「遥かに有益だ(まだまだT-72の運用国が多いため戦後、同車のアップグレード事業で海外市場に参入できる可能性もあるとも言及)」と主張しているのが興味深い。

一方でランド研究所のマルタ・ケペ上級研究員は「ドイツで各コンポーネントを製造してウクライナに新設する工場で組み立てる方式は紛争地域に機密品の輸送するリスクが伴うため、やるならウクライナで完全生産する方がいい。この方式の方が長期的に見て欧州の利益(各国が保有するプラットホームをウクライナに提供しなくて済む=産業界の負担軽減)になる」と述べているが、パンターはレオパルト2A4ベースの車体に130mm滑腔砲を搭載する新型砲塔を搭載したもので「技術的な成熟に2026年までかかる」とも言及。

ウクライナでのパンター製造は現実的なのか? それとも非現実的なのか?

出典:Rheinmetall/CC BY-SA 4.0

そのため「将来性に対する伸びしろは大きいが量産までに長い時間がかかるため戦後を見据えた取り組みになる」と指摘しており、最大のネックはドイツ政府がラインメタルの計画を承認するかどうかだ。

まだまだ現役に留まる可能性が高い独KMWのレオパルト2A7、独仏が大金を投じる予定の主力戦車開発プログラム(MGCS)の競合になりかねないラインメタル単独の計画=量産化に承認を与えることは政治的リスクが高く、仮に工場を建設するための2億ユーロやパンターを調達する費用をEUやドイツが負担するなら尚更だろう

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※アイキャッチ画像の出典:Rheinmetall Defence/CC BY-SA 4.0

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