アルメニア首相、アゼルバイジャンと領土の相互承認で合意したと発表

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アルメニアのパシニャン首相はユーラシア経済連合の首脳会談の中で「アルメニアとアゼルバイジャンは領土の相互承認で合意した」と発表、アゼルバイジャンのアリエフ大統領も「和平協定を締結する可能性がある」と発言して注目を集めている。

両国の関係正常化に向けた大きな一歩と言えるが、和平協定締結までパシニャン政権がもつかは不明

パシニャン首相は4月「ナゴルノ・カラバフ民族という概念が存在しないため『民族自決に基いて独立した』という主張は成立せず、我々はこの矛盾に向き合う必要がある。我々はマドリッド原則に基いてナゴルノ・カラバフ地域の地位調整に同意したが、アゼルバイジャン領の一部と認めないなら何を調整するのか?我々はアゼルバイジャン領の一部だと認めているのに交渉内容と公の発言が一致しないのは問題で、我々は認識した事実を口にしないことで自身とナゴルノ・カラバフの人々を欺いたのだ」と議会で演説。

アルメニア首相、アゼルバイジャンと領土の相互承認で合意したと発表

出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

モスクワに向う前にも「現政権が何と言おうと政府はアゼルバイジャンの領土保全を認めており、アルメニアは86,600km²(ナゴルノ・カラバフやヒチェヴァン自治共和国を含む範囲)の土地をアゼルバイジャン領と認める用意がある。アゼルバイジャンも29,800km²(国際的に認知されたアルメニア領と一致する数字)の土地をアルメニア領と認める用意があり、この問題について適切に理解しあえれば領土の相互承認が実現する」と述べて注目を集めていたが、遂に公の場で領土の相互承認を発表した。

25日に開催されたユーラシア経済連合の首脳会談でパシニャン首相は「アルメニアとアゼルバイジャンは領土の一体性を相互承認することで合意した」と発表、会議後の拡大会合に参加したアゼルバイジャンのアリエフ大統領も「領土の一体性の相互承認に基づく両国の関係正常化には深刻な前提条件があるが、アルメニアがナゴルノ・カラバフをアゼルバイジャン領の一部と認識していることを考慮して和平協定を締結する可能性がある」と述べたため注目を集めている。

アルメニア首相、アゼルバイジャンと領土の相互承認で合意したと発表

出典:Президент России ユーラシア経済連合

アリエフ大統領が言及した「深刻な前提条件」とは、ナゴルノ・カラバフの処理を和平協定から切り離すため「領土問題」ではなく「当該地域に住むアルメニア系住民の権利問題」に変更、この問題はステパナケルトとバクーとの話し合いを通じて解決されるべきで「この対話を保証するため国際的な枠組みを作ることが重要だ」とアルメニア側は要求しており、アゼルバイジャンからすれば国内問題の処理に「国際的な監視」がつくのは不本意なので「深刻な前提条件」と表現したのだろう。

しかしパシニャン首相が「ナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領と認める」と政治的に述べているので「和平協定を締結する可能性がある」と付け加えており、アゼルバイジャンも領土の一体性を相互承認する用意があるという意味だ。

アルメニア首相、アゼルバイジャンと領土の相互承認で合意したと発表

出典:Google Map 管理人作成(クリックで拡大可能)

2020年の紛争後も国境地域で武力衝突が度々発生するのは「領土の相互承認」と「国境策定」が行われていないためで、この状況を利用してアゼルバイジャンは「和平協定締結=ナゴルノ・カラバフの放棄」に向け軍事的圧力を加え続けており、この挑発に乗れば軍事的に劣勢なアルメニアは不利なので耐えるしかなく、ナゴルノ・カラバフ放棄に向けた国内調整を進めるしかない状況だったが、遂に国際的な場で領土の相互承認(ナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領と認めたのと同義)を口にしたので政治的に後戻りすることは出来ない。

両国の関係正常化に向けた大きな一歩と言えるが、和平協定締結までパシニャン政権がもつかは不明だ。

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因みにパシニャン首相は2022年9月に初めて「ナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領の一部だと認める協定への署名」に言及、直ぐに国民が「ナゴルノ・カラバフを敵に売り渡すな」と訴えて首相辞任を要求するため首都に集結したことがある。

ただパシニャン首相は「国民は私のことを裏切り者だと罵るかもしれない文書への署名を考えている。恐らく国民は私を権力の座から引きずり降ろそうとするかもしれないが、29,800km²の国土でアルメニア国民が永続的な平和と安全を享受できなら自分がどうなろうと知ったことではない」と述べており、死ぬ気でアゼルバイジャンとの和平協定締結を進める気だ。

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※アイキャッチ画像の出典:Президент России

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