ウクライナ侵略を続けるロシアのラブロフ外相は23日、トルコで16日に行われた露・ウクライナの直接交渉で合意された「1千人対1千人」の捕虜交換の完了次第、ウクライナに対し、紛争終結に向けた「和平合意の文書案」を引き渡す用意があると述べた。モスクワで開いた記者会見で発言した。
両国は23日、捕虜交換の第1弾として、軍人270人と民間人120人の計390人ずつの交換を実施。ウクライナのゼレンスキー大統領によると、24日以降も捕虜らの交換が続けられる予定。
記者会見でラブロフ氏は、16日の露・ウクライナ直接交渉に関し、両国が捕虜交換に加えて「安定的かつ長期的、包括的な和平合意を達成するための条件を概説した文書案」を準備することでも合意したと主張。ロシアは現在、文書案の作成をほぼ終えているとした。
これに先立ち、直接交渉で露代表団を率いたメジンスキー露大統領補佐官も、両国が次回協議までに「将来の停戦に関する自身の見方」をまとめた文書を作成し、相手に引き渡すことで合意したと発言していた。
ただ、ウクライナ側によると、直接交渉でロシアは「不条理な要求」を提示。ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州からの同国軍の撤兵などを求めたとされることを指すとみられる。ロシアがウクライナに渡す和平合意案もこうした要求を反映したものになる見通しだ。
ゼレンスキー氏は19日、4州からの軍の撤兵要求には応じないと明言しており、ウクライナはロシアの和平合意案を受け入れない公算が大きい。(小野田雄一)