愛知県の大学序列は不変か?名古屋大学の圧倒的地位と地元文化の魅力

長年にわたり多くの読者に選ばれてきた大学案内『大学図鑑!』が今年も最新版『大学図鑑!2026』として発売されました。現役学生やOB・OG、5000人を超える生の声に基づいて制作された本書は、大学選びの重要な情報源となっています。本記事では、この最新版と20年前の『大学図鑑!2007』から一部を抜粋・再編集し、愛知県における大学の序列がこの20年でどのように変化したのか、あるいは変わらないのかを深掘りします。

東海圏の頂点、揺るがぬ名古屋大学の地位

27年にわたり発行が続く『大学図鑑!』は、大学受験の多様なニーズに合わせて掲載大学を変化させてきました。少子化の影響を受け、近年は関東と関西の大学情報に重点を置いていますが、かつては愛知県内の大学も取り扱っていました。20年前のデータと最新の状況を比較すると、東海圏において圧倒的なブランド力と学術的実力を誇るのは、やはり名古屋大学であることが明らかです。20年程度の歳月で名古屋大学の地位が揺らぐことはなく、その優位性は盤石と言えます。特に理系分野を中心に東海圏の大学を牽引し、愛知県内のエリート層は現在も県内の公立高校から名古屋大学に進学するというのが王道ルートです。

「超優秀な大学の一つ」か「地元至上」か:名古屋大にみる地域性の評価

20年前の『大学図鑑!』と最新版を通して、名古屋大学に関して変わらない特徴の一つは、その圧倒的なローカル感です。新幹線で名古屋から東京へ来ると、名古屋大学の知名度はそこそこ高く、旧帝大の一つとして高く評価されるのは間違いありません。しかし、就職活動の場では、時に要領の良い早慶生に一歩譲る場面もゼロではないとされます。つまり、東京における評価は「超優秀な大学の“一つ”」という位置づけです。

しかし、地元名古屋での評価は全く異なります。名古屋大学こそが至高であり、東京大学や京都大学がどうであろうと関係ありません。学力偏差値という枠を超え、名古屋大学が最も良いという雰囲気が地域全体に根付いています。これは、地元愛が非常に強い名古屋ならではの特徴と言えるでしょう。同じ旧帝大である東北大学などが、これほどの地域密着型の評価を受けているケースは稀です。地元に密着しつつ、同時に高い学術レベルを維持しているという魅力は、名古屋大学ならではの強みと言えるかもしれません。

大学図鑑!の表紙をイメージさせるイラストと書籍の写真大学図鑑!の表紙をイメージさせるイラストと書籍の写真

名古屋の独特な文化と「名大生」のリアルな声

県外から名古屋大学に進学した学生がまず驚くことの一つに、「名古屋駅」の呼び方があります。愛知県民は名古屋駅を親しみを込めて「名駅(めいえき)」と呼びます。当初は「どこの駅?」と戸惑うかもしれませんが、やがて慣れ、自身が地元に馴染んだと感じる瞬間の一つとなります。

同様に、名古屋大学も愛知県民からは「名大(めいだい)」と呼ばれます。関東では明治大学が「明大(めいだい)」と呼ばれるため、最初は混同しがちですが、名古屋ではそれが一般的です。

20年前の『大学図鑑!』でインタビューに応じた当時の名古屋大学学生たちのコメントは、その本質をよく表しています。

名古屋大生に聞いた「本音で一言!」※いずれも20年前のコメント

  • 「外から見ればダサい大学だけど、見せかけだけのチャラチャラしている大学とは中身の濃さが違います」(農学部生)
  • 「全国的な真のエリートを目指すなら名大じゃないほうがいい。でも名大だと愛知ではかなりのエリートになれる」(経済学部生)
  • 「東京から来ると馴染むのに時間がかかる。思ったより名古屋には独特の文化が多い」(教育学部生)
  • 「結構閉鎖的。名大生で群れずに外にも友達をつくらないと考えが偏る」(法学部生)

結論

この20年間で、愛知県における大学の序列、特に名古屋大学の圧倒的な地位は変わることなく維持されてきました。名古屋大学は、学術的な優秀さに加え、地元名古屋の強いアイデンティティと文化に深く根差した、他にはない独自の魅力を持つ大学です。地元での「至高」の評価と、全国レベルでの「超優秀な大学の一つ」という認識の差は、その地域密着性を物語っています。本記事が、名古屋大学の多様な側面、そして愛知県の大学事情を深く理解する一助となれば幸いです。

参考資料

  • 『大学図鑑!2026』(2025年1月執筆)
  • 『大学図鑑!2007』(2006年1月執筆)