都議選での躍進が記憶に新しい参政党の「日本人ファースト」というスローガンに牽引され、“外国人政策”はにわかに参院選の主要な争点として浮上しています。SNS上では様々なデマが飛び交う一方で、各政党の訴えも多岐にわたりますが、現実にはどのような問題が横たわっているのでしょうか。本稿では、前編で報じられた外国人の運転免許切り替え制度や医療費問題に続き、特に日本の国土が外国人に取得されるリスクに焦点を当て、その具体的な課題と専門家の見解を深掘りします。
「日本人ファースト」が焦点化する外国人政策
参政党の勢いが止まらず、その掲げる「日本人ファースト」のスローガンは、国の重要政策の一つである外国人政策に対する国民の関心を高めています。これにより、日本の外国人政策、特に土地取得に関する問題が、今回の参院選における主要な論点として注目されています。各党は独自の解決策を提示していますが、その背景には、実際の社会で生じている様々な問題が存在します。
日本の国土を巡る外国人の土地取得問題
外国人による土地購入を「基本禁止」とする参政党に加え、国民民主党も土地取得の規制法制定を掲げています。これは、近年のインバウンド熱や歴史的な円安が重なり、国内の不動産価格が高騰している現状が背景にあります。この不動産高騰の「担い手」となっているのが外国人富裕層であり、結果として日本人の住宅取得が困難になるという言説が選挙戦の中で強まっています。
訪日外国人観光客が日本経済に与える影響と不動産市場への波及効果
2022年9月には、安全保障上重要な土地、具体的には国境の離島や自衛隊基地、原発などの周囲およそ1キロの土地を対象に、調査・規制する「土地利用規制法」が施行されました。しかし、この法律は外国資本による土地の売買自体を禁止しているわけではなく、長らく懸念の声が上がっていた点でした。この未解決の課題が、今回の選挙戦で再び脚光を浴びています。
「徴税の難しさ」:専門家が指摘する喫緊の課題
外資による土地買収問題に詳しい国土資源総研の平野秀樹所長は、外国人に日本の不動産が買われることの問題点として、主に三つを挙げています。その中でも特に喫緊の課題として指摘されているのが「税金の問題」です。
平野所長によれば、固定資産税や転売にかかる不動産取得税、所得税などを督促しようとする場合、所有者が海外在住の外国人であると、その所在が不明なケースが多く、実質的に徴税が極めて困難になるという現状があります。日本人や国内に所在が判明している外国人がきちんと納税義務を果たしているのに対し、海外在住の外国人所有者から税金を徴収できない状況は、バランスを欠き、国家としてのガバナンスが問われかねない重大な問題であると警告しています。
結論
参院選において「外国人問題」、特に外国人による日本の国土取得は、重要な争点の一つとして議論が深まっています。インバウンドと円安がもたらす不動産価格の高騰や、安全保障上の懸念は依然として存在し、それらを抑制する現行法の限界が浮き彫りになっています。中でも、海外在住の外国人所有者からの税金徴収の困難さは、国家のガバナンスと公平性を揺るがす喫緊の課題であり、今後の政策論議において具体的な解決策が強く求められています。この問題は、単なる経済的側面だけでなく、国家の主権と国民生活の安定に直結する課題として、引き続き注視していく必要があります。
参考文献:
- [Yahoo!ニュース / デイリー新潮] (https://news.yahoo.co.jp/articles/df5840f5ee954fa5bfd3cc7f20ee8b66934f9209)