いよいよ明日投開票を迎える参議院選挙。日本の政治の大きな節目となるこの選挙において、特に東京都選挙区は7議席を巡り32人が立候補する大激戦が繰り広げられています。選挙戦終盤を迎えた7月18日、注目を集める複数の女性候補者たちが、有権者への最後の訴えを街頭で行いました。本記事では、そのリアルな現場の様子を詳細にレポートし、彼女たちの選挙戦における戦略と人柄に迫ります。
参議院選挙東京選挙区の主要女性候補者、さや氏(参政党)、牛田茉友氏(国民民主党)、山尾志桜里氏(無所属)が並ぶ選挙戦の様子。
国民民主党・牛田茉友氏:元NHKアナの知名度と選挙戦の疲労
午前10時前、JR高田馬場駅前には、国民民主党から立候補している牛田茉友氏(40)の姿がありました。元NHKの女子アナウンサーという抜群の知名度を誇る彼女は、白のTシャツに黒のパンツというカジュアルな服装ながら、その存在感は道ゆく人々の視線を引きつけます。しかし、2週間以上にわたる厳しい選挙戦の疲労が色濃く、動きには覇気が感じられませんでした。ビラ配りを始める際も腰が引けた様子で、スタッフに促されては頭を下げにいく場面も見受けられました。
演説が始まると、牛田氏は「私はみなさんと一緒に手取りを増やす夏を実現していきたい。取りすぎている税収をお戻しして、社会保険料を低減して、働いていらっしゃる皆さんの手取りを少しでも増やしていきたい…」と政策を訴えました。しかし、その話し方はニュース原稿を読み上げるような抑揚の少ない「棒読み感」が否めず、聴衆に語りかけるような力強さは見られません。約10分間の演説中には、なぜか突然黙ってしまう場面が2度もあったのが印象的でした。
それでも、子供の頃に受けた「いじめ」を乗り越えた体験談を訥々と語る姿からは、彼女の真面目な人柄が伝わってきます。演説が終わると、あっという間に多くの男性たちに囲まれ、写真撮影会が始まりました。本人が「手応えはあります。特に女性からの支持の高まりを感じています」と語る通り、女性有権者からの関心の高さが伺えます。選挙戦序盤には送迎車が不審な車に追尾される事案があったものの、現在は警備が強化され、安全が確保されているとのことでした。国民民主党は当初、擁立した2人全員の当選を目標としていましたが、現在は失速気味で、牛田氏のみが踏ん張っている状況です。その抜群の知名度が、この激戦を乗り切る力となるか、注目されます。
参政党・さや氏:高まる注目とカウンター活動への対応
正午前、銀座・数寄屋橋交差点では、各社が「トップを走る」と報じる参政党のさや氏(43)の街頭演説が行われました。集まった聴衆は20〜30人で、男女問わず50代以上の年配者が多く見られました。さや氏の演説には、いわゆる「カウンター目的」の人々が押し寄せると事前に情報がありましたが、この日は一人の中年男性がプラカードを掲げて選挙カーの前に立ちふさがっていました。男性は「〈みんなファースト NO HATE〉」と書かれたプラカードを手に、静かに抗議の意思を示していました。
すると、聴衆からは一斉に「邪魔だ」「お前、仕事どうした? 働けよ、ヒマ人」といった罵声やヤジが浴びせられましたが、男性は一歩も引かずその場に立ち続けました。しかし、大きな混乱に発展することはありませんでした。〈妨害行為には冷静なご対応をお願いします〉と書かれたプラカードを持ったスタッフたちは、このような状況に慣れているようで、何度か注意を促したものの、最終的には男性を放置する対応を取りました。
さや氏本人が登場すると、集まった支持者からは大きな拍手と歓声が上がりました。さや氏が「数寄屋橋前の皆さん、こんにちわー」と呼びかけると、聴衆からも「こんにちわー」と力強い返事が返ってきます。過去に出演したYouTube番組で「核武装が最も安上がり」と発言したことが問題視され、激しい批判にさらされている最中であるにもかかわらず、さや氏本人も支持者もどこ吹く風といった様子で、その勢いは衰えを見せていませんでした。
終盤戦を迎える女性候補たちの多様な戦略と動向
今回の参議院選挙東京選挙区では、様々なバックグラウンドを持つ女性候補者たちが、それぞれの戦略で厳しい選挙戦を戦っています。元有名アナウンサーの知名度を活かしつつも、選挙戦の疲労や話し方の課題を抱える牛田茉友氏。そして、若者を中心に急速に支持を広げ、「核武装」発言への批判も意に介さない参政党のさや氏。彼女たちの街頭演説からは、それぞれの選挙戦の特色と、有権者へのアプローチ方法の違いが鮮明に浮かび上がりました。最終盤の熱気が高まる中、有権者がどのような判断を下し、誰に貴重な一票を投じるのか、その結果が注目されます。