福岡市で今年1月、医療的ケアが必要な長女を殺害し起訴された福崎純子被告(45)に対し、福岡地裁は今月18日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の判決を下しました。公判では、被告人の深い苦悩が明かされています。
医療的ケア児の介護に疲弊する母親と子のイメージ画像。複雑な親子の関係性と支援の必要性を示唆します。
犯行後の絶望と孤立
意識回復後、被告人は「心菜だけ先に逝った」と絶望し、自らも命を絶とうと薬の致死量を調べたといいます。逮捕・勾留中の約4か月間、心菜さんの通夜参列も叶わず、食事を拒否。夫や友人との縁を切る決意をし、一人で遺骨と生きていくと供述、深い孤立感の中にいました。
支えと心の変化
しかし、夫、弁護士、友人、関係者からの励ましが被告人の心境を徐々に変えていきました。当初は辞退していた心菜さんも通っていた放課後デイサービスの手伝いを受け入れ、そこで病気と闘う子どもたちと触れ合う中で「なんでもしてあげたい」と愛おしさを感じ、充実した時間を過ごしたそうです。
未来への希望と深い後悔
今後はケアストレスカウンセラー資格取得を目指し、「私のように悩みを抱える人の吐き出す場所を作りたい」と動機を語ります。公判最後には、「なぜこんなことをしたのか、信じられない。時間を取り戻したい。心菜に会いたい、あの生活に戻りたい」と深い後悔と娘への愛情をにじませました。
まとめと社会への問いかけ
この悲劇は、医療的ケア児の介護重圧と孤立がもたらす心の闇を浮き彫りにしました。福崎被告の供述は、絶望から支援を経て再生へ向かう複雑な心の軌跡を示しており、今回の判決は、困難を抱える家族への社会的な理解と支援の重要性を改めて問いかけるものです。