元AKB48村山彩希さんへの執拗な脅迫、繰り返される犯行とネット誹謗中傷の闇

元AKB48メンバーの村山彩希さん(26)に対し、インターネット掲示板で殺害をほのめかす投稿をしたとして、大阪市の無職、村田裕一朗容疑者(26)が警視庁新宿署に逮捕されました。昨年も同様の脅迫で逮捕・有罪判決を受けていた村田容疑者が、なぜ再びこのような行為に及んだのか、その背景にはネット上での誹謗中傷の連鎖が深く関わっていると見られています。

元AKB48村山彩希さんへの度重なる脅迫事件

今回の逮捕容疑は、8月3日午前2時10分ごろ、匿名掲示板「5ちゃんねる」に村山さんとその家族に対して「虐殺しに行くから楽しみにしとけやwwww」などと書き込んだことです。この殺害予告は、村山さんが8月8日から新宿・紀伊國屋ホールで主演を務めるミュージカル「新・幕末純情伝」の上演中に実行することを示唆する内容でした。

村山さんにとって、このミュージカルは6月にAKB48を卒業してからの初の大きな仕事であり、過去には広末涼子さんや石原さとみさんなども演じた沖田総司役として注目を集めていました。投稿を受け、4日には警視庁に情報提供があり、IPアドレスの特定から村田容疑者が浮上し、逮捕に至りました。

過去の事件と繰り返される犯行の背景

村田容疑者がネット上での脅迫行為で逮捕されるのは、今回が初めてではありません。2024年7月にも村山さんへの脅迫容疑で大阪府警に逮捕され、懲役6ヵ月、執行猶予3年の有罪判決を受けていました。

昨年の裁判で明らかになった供述によると、村田容疑者は元AKB48の岡田奈々さん(27)のファンでしたが、その言動からファンクラブを何度も退会させられた経緯がありました。村山さんに対しては、「岡田さんに寄生して楽に人気をとろうとしていたので嫌いだった」と供述。また、村山さんのファンとのネット上の口論がエスカレートし、自身だけでなく家族への誹謗中傷にまで発展したため、村山さんのファンへの復讐として犯行を思い立ったと話していました。検察官から自身の言動の問題点を問われると、「理性でそう思えなかった」と繰り返し、反省の態度は薄かったと報じられています。

大きなマスクと長い前髪で顔を隠し、刺すような視線でカメラを見つめる男の姿大きなマスクと長い前髪で顔を隠し、刺すような視線でカメラを見つめる男の姿

ネット上の「戦い」が生む負の連鎖

警察の調べに対し、村田容疑者は今回の犯行の動機について、「去年捕まった時に私に対する誹謗中傷が繰り返され、攻撃されたから怒りに身をまかせて投稿した」「反論しなければ文句を言われるし、反論すればさらに文句を言われる」「私は1人で戦っている」などと供述しています。

元々ネット上で批判されることが多かった村田容疑者は、昨年の逮捕をきっかけに「前科者」などと書き込まれることが増え、さらに揶揄されるようになったようです。憎しみという負の感情に囚われたまま、直接関係のない村山さんへ殺害予告を送りつけ続ける村田容疑者。終わりのない誹謗中傷の応酬が続くネットの世界から、抜け出す術はなかったのでしょうか。今回の事件は、ネット上での感情的な衝突が、現実世界での犯罪行為に繋がり得る深刻な問題として、改めて社会に問いを投げかけています。

参考文献