ジャーナリストの浜田敬子氏が、第107回全国高校野球選手権大会への出場を辞退した広陵高校(広島)の野球部暴力事案について、TBS系「サンデーモーニング」でその根底にある「勝利至上主義」を指摘しました。この辞退は、SNSでの情報拡散と過熱した誹謗中傷、さらには爆破予告にまで発展し、単なる不祥事以上の深刻な社会問題として浮上しています。浜田氏は、強豪校に潜む暴力の連鎖と、それに対する学校や高野連の対応の甘さに警鐘を鳴らし、高校スポーツにおける教育的役割の再考を促しています。
広陵高校野球部辞退の背景とSNSでの過熱
広陵高校の野球部を巡る暴力事案は、大会前にSNSで拡散され大きな波紋を呼びました。当初、高野連は広陵の出場判断に変更はないとしていましたが、選手や関係者への誹謗中傷、差別的なSNS投稿が過熱。初戦は勝利し2回戦進出を決めたものの、直後に堀正和校長が会見で辞退を発表しました。堀校長は「広陵高校の炎上が尋常じゃない」と述べ、野球部の寮への爆破予告があったことも明かし、生徒の命を守るための決断であると説明。現在、暴力事案については第三者委員会による調査が進められています。
ジャーナリスト浜田敬子氏が高校野球広陵の辞退問題と勝利至上主義について見解を述べる
暴力事案の深刻性と学校・高野連の対応への疑問
番組MCの膳場貴子氏から見解を求められた浜田氏は、学校への爆破予告や生徒への嫌がらせは許されない行為としつつも、「そもそもの野球部や学校の対応はどうだったのか」と問題提起しました。個人的な喫煙などの連帯責任には否定的である一方、今回の事案が「集団の暴行、しかも上級生から下級生へ対しての暴力事案」である点を強調し、その深刻さを指摘。さらに、SNSで指摘されている別の暴力事案がもし事実であれば、当初から甲子園出場を見合わせるべきほどの重大なケースであった可能性に言及し、「高野連に正しく報告されていたのか、報告されていたとしたら高野連の対応が甘くなかったのか」と厳しく問いました。
根底にある「勝利至上主義」の課題
浜田氏がこの問題の「裏にあるもの」として強く指摘したのは、いまだに根強く残る「勝利至上主義」です。主力選手を出場させ、試合に勝ちたいという強い願望が、体罰、しごき、いじめといった暴力行為を容認する土壌を生み出していると分析。これは広陵高校に限らず、多くの運動部に共通する課題であると述べました。勝つことだけが目的となり、教育的な側面が軽視される現状に警鐘を鳴らしています。
教育現場としての部活動の役割
本来、高校の部活動は単なる競技の場ではなく、教育の現場として暴力は許されないということを生徒に教え、人間形成を促す重要な役割を担っています。しかし、今回の広陵高校の事案は、その教育機能が十分に果たされていなかった可能性を示唆しています。勝利への過度な執着が、部活動本来の意義を見失わせ、生徒間の暴力という最も避けなければならない事態を招いたという厳しい現実を突きつけます。
結論
広陵高校野球部の辞退は、SNSでの過熱と生徒への脅威という新たな側面を持つ一方で、その本質には日本の高校スポーツ界に長年潜む「勝利至上主義」という深い問題があることを浮き彫りにしました。ジャーナリストの浜田敬子氏の指摘は、単なる個別事案としてではなく、教育現場としての部活動のあり方、そして高野連の監督体制の再構築を強く求めるものです。生徒の健全な育成と安全を守るためにも、勝利一辺倒ではない、真の教育的価値を追求するスポーツ環境の確立が急務となっています。
参考文献
- TBS系「サンデーモーニング」2024年8月17日放送
- 日刊スポーツ 2024年8月17日配信記事「浜田敬子氏、広陵辞退問題で勝利至上主義を指摘「暴力行為が残っている」」
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