何があっても生きていける 小山明子さん×大島武さん×大島新さん
女優の小山明子さんが、毎日新聞出版から新刊『90歳、凜として生きる』を出した。90歳の今をはつらつと生きる秘訣(ひけつ)を、小山さん、長男で東京工芸大学芸術学部長の大島武さん、次男でドキュメンタリー映画監督であり同大教授の大島新さんが語り合った。
小山明子 この本のきっかけは、政治学者、姜尚中(カンサンジュン)先生の著書『生きる証(あか)し』(小社刊)。長年親しくしている姜先生と同書で対談したら、編集者が「小山さんの生き方、考え方は多くの人を勇気づける。今度は小山さんの本を作りましょう」と。
本を出すからには、私の人生のありのままを書こう、と。夫(大島渚、*1)の介護でうつ病になったり、経済的ピンチになったり、「そんなことまで書いていいの?」と心配してくれる人もいたけれど、生きていれば誰だって何かある。そこを包み隠さず書いているから、皆さんが共感してくださったのかなと思います。「凜(りん)として」というタイトルがいいと言ってくださる方もいるわ。「読みやすかった」と言われることも多い。
大島武 東日本大震災の被災地支援をお母さんがこんなに次々と手がけているとは、この本を読むまで知らなかった。それに、本もよく読んでいる。死生学の第一人者、アルフォンス・デーケンさん(*2)の本に感動したら、対談企画を雑誌編集部に持ちかけて著者に会いに行く。インプットするだけではなく、アウトプットにつなげていく。その行動力には脱帽です。
小山 姜先生との出会いも、講演会場の楽屋を訪ねて「お食事をご一緒したいから、連絡先を教えてください」って頼んだのよね。
大島新 パワーがすごい。次々に新しいことにチャレンジしている。姜先生の話もそうだけど、いい意味での厚かましさもあって、人にどんどん声をかけていく。
◇コロナ禍で再びうつに
小山 夫を介護していたときは、私はうつ病以外は病気知らずだったのに、看取(みと)った後、乳がんや大動脈弁狭窄(きょうさく)症、脊柱(せきちゅう)管狭窄症、肺がんと次々に病気に見舞われ、そして5年前には2度目のうつ病になって、あなたたちやお嫁さんたちにお世話になりっぱなし。あのとき、家族会議を開いてくれたのよね。






