11月9日、兵庫県警は政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)を逮捕した。1月に亡くなった元県議の竹内英明氏に対し、虚偽の情報を発信し名誉を傷つけた容疑だ。被害者が死亡した後に名誉毀損で立件されるのは異例といわれる。
【写真】生前の竹内英明・元県議のHP 議員辞職直前まで頻繁に更新されているが、最後は胸が痛むような内容の投稿となっていた
きっかけはちょうど1年前、昨年11月に投開票が行われた兵庫県知事選挙だった。知事選に立候補した立花容疑者は自身の当落そっちのけで、不信任決議を受けて失職した斉藤元彦前知事の応援に回った。いわゆる“二馬力選挙”だ。返す刀で、斉藤前知事の違法行為を告発して亡くなった元県民局長や、告発文書の真偽をただす百条委員会の奥谷謙一委員長、委員の丸尾牧県議、そして竹内県議らに対するデマをSNSで発信し、街頭演説で聴衆を煽った。中でも“斎藤知事失職の黒幕”などと名指しされた竹内県議への誹謗中傷や嫌がらせはすさまじく、家族への危険を感じた彼は議員を辞職。それでも攻撃は止まず、年が明けた1月18日に命を絶ってしまった。
さらなる追い打ちをかけたのが他ならぬ立花容疑者だった。「(竹内氏は)任意の事情聴取を受けていた」「逮捕されるのが怖くて自ら命を絶った」などとSNS等で発信したのだ。直後に兵庫県警のトップが「全くの事実無根であり明白な虚偽」と全面否定すると、慌てて自身のYouTubeチャンネルで謝罪して見せた。ところがその舌の根も乾かぬうちに、彼は新たな動画で都合の良い主張を拡散させたのだ。立花容疑者の卑劣極まりない行為を改めて振り返る。
(以下は「デイリー新潮」1月23日配信記事からの再録です)
1月20日に配信された「立花孝志」チャンネルでの発言から一部を抜粋する。
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立花:竹内元県議がお亡くなりになったことで、一部公開していたもの(動画)を非公開にしたりしてですね、「逃げてる」という指摘もいただいておりますが、(中略)僕はおかしいと思ったらこれからも指摘するし、間違った時にはごめんなさい――。いっぱいやっているから間違うこともあるんですよ。今回も竹内さんに関しては、僕の認識ではお亡くなりになる1月18日までに、僕はそんなに何か批判や誹謗中傷したっていう記憶はないんですよ。もちろんね、お亡くなりになった後に「逮捕されそうだ」とか「任意の事情聴取を受けている」とか言っていたけれど、個々については別にそんなに命を絶つようなことではないと思っているんですよ。
「いっぱいやっているから間違うこともある」というレベルの間違いではなかったはずだ。しかも、竹内氏が亡くなる前に「批判や誹謗中傷した記憶はない」と言う。
立花氏はパワハラ疑惑などを追及された斎藤元彦兵庫県知事(47)の失職を受け昨年10月31日に告示された出直し知事選に立候補した。ところが、本人に当選する意思はなく、再選を目指す斉藤氏の支援に回った。選挙運動では、百条委員会で斉藤氏を追及した県議らを追い詰めた。その中の一人が竹内氏だった。






