近年、日本において45歳以上で初めて父親になる男性が増加傾向にあります。厚生労働省の「人口動態統計」によると、20年前は67人に1人だったこの割合が、現在では23人に1人と、その数は顕著に増加しています。アラフィフでの子育ては経済面や体力面で大変だとネガティブに捉えられがちですが、実際に経験している父親たちはどのように感じ、日々を過ごしているのでしょうか。本記事では、45歳で第1子を授かった山本さん(仮名・53歳)のリアルな子育てライフに迫ります。
45歳で第1子を授かり、地域に根差した生活
山本さんは45歳で第一子を迎え、現在、お子さんは小学2年生になりました。先日も小学校の運動会で警備を担当するなど、積極的に地域活動に参加されています。「大変ですが、誰かがやらなければならないことですからね」と語る山本さんの表情は、地域に溶け込みながら家族と暮らす喜びと充実感に満ち溢れています。都心へのアクセスが良いながらも、山や田んぼが広がる豊かな自然環境で育った山本さんは、現在もその地元で鍼灸院を開業し、家族とともに幸せな日々を送っています。
45歳で第1子を授かり、現在は地域に溶け込みながら家族と暮らす山本さん
山本さんの職業は鍼灸師で、16年のキャリアを持つベテランです。週に4日は都内の病院で脳神経外科領域のリハビリ専門鍼灸師として勤務し、それ以外の日は自宅近くで自身の鍼灸院を経営しています。仕事と子育て、地域活動のバランスをうまく取りながら、精力的に活動する姿は、まさに現代のアラフィフ世代の父親像を体現していると言えるでしょう。
数々の困難を乗り越えてきた山本さんの半生
現在の穏やかで幸せな生活に至るまで、山本さんには様々な試練がありました。前妻との離婚、現在の妻との出会い、突然の病気の発症、そして妻の度重なる流産や不妊治療など、幾多の困難を乗り越えてきました。これらの経験が、現在の山本さんの深みと優しさ、そして家族や地域への強い思いを形成しているのかもしれません。
音楽への情熱から新たな道へ
大学卒業後、広告代理店に新卒入社した山本さんは、会社勤務の傍ら、学生時代から情熱を傾けていた音楽活動を続けていました。しかし、社会人3年目にして「音楽で生計を立てたい」という強い思いから、ご両親の心配をよそに「30歳までダメなら諦める」と説得し、退職を決意。20代前半の全てをアルバイトをしながらバンド活動に捧げました。
アルバイトをしながら全生活をバンド活動に懸けた20代前半の山本さん
その後、音楽の道から鍼灸師へとキャリアチェンジを果たし、新たな専門性を身につけた山本さん。その道のりには多くの挑戦がありましたが、それらが現在の安定した生活と、充実した子育てに繋がっています。
まとめ
45歳以上で父親になる男性が増える現代において、山本さんのように様々な経験を経て子育てに奮闘する姿は、多くの人々に勇気と希望を与えてくれます。経済面や体力面での懸念がある一方で、人生経験が豊富だからこそのゆとりや、地域社会との繋がりを大切にする姿勢は、晩年からの子育てが持つ新たな可能性を示唆していると言えるでしょう。この連載では、今後も45歳以上でパパになった男性たちのリアルな声を発信し、多角的な視点からアラフィフ子育ての魅力と課題を探っていきます。





