高校生活において、部活動と受験勉強のバランスは多くの生徒にとって尽きない悩みの種です。特に東京大学のような難関校を目指す場合、そのプレッシャーは計り知れません。人気漫画『ドラゴン桜2』でも描かれているように、限られた時間の中でいかに双方を充実させ、目標を達成するかは重要なテーマとなっています。現役東大生である土田淳真氏は、自身の経験や周囲の友人たちの事例から、部活動を続けながら志望校に合格した生徒に共通する二つの特徴を分析しています。
部活動も勉強も成功させる「メリハリ」と「目的意識」
東京大学への現役合格を目指す早瀬菜緒が図書館での自習中に、かつてニュースでも取り上げられた野球部員の大場隼人と出会うシーンは、部活と受験勉強の両立というテーマを象徴しています。多くの運動部員は高校3年生の夏まで部活動を続けますが、土田氏もまた高校3年の6月まで週5回の陸上競技の練習を続けていたと言います。彼の周りで部活動を最後までやり遂げ、かつ志望校に合格した友人たちには、共通して「メリハリ」と「目的意識」という二つの特徴が見られたそうです。
まず、「メリハリ」とは時間管理の上手さを示します。例えば、部活動後の着替えや片付けの時間。これを素早く済ませることで、他の生徒よりも多くの時間を確保し、勉強に充てることができます。また、自宅に帰ってからの過ごし方も重要です。部活動の疲労から惰性でゲームをしてしまうか、時間を決めて集中して学習に取り組むかで、大きな差が生まれます。部活動の仲間と同じ時間を過ごしているからといって、その後の行動まで同じだと思い込むのは甘えであり、落とし穴となり得ます。
次に「目的意識」の有無です。これは特に部活動に対して当てはまります。個人競技であれば自身の種目、集団競技であればチームの目標に対し、現在の課題を分析し、解決に向けた具体的なアプローチを考えるプロセスです。この感覚を部活動で「自然と」身につけられれば、その思考プロセスを勉強にも応用できます。部活動の中で自分の意見をしっかりと主張できる生徒ほど、志望校合格を掴み取っている印象が強いと土田氏は指摘します。
『ドラゴン桜2』のイラスト:受験勉強と部活動の両立を描いた人気漫画
「勉強に専念する」という選択の落とし穴
部活動を途中で辞めて受験勉強に専念すべきか否かは、多くの高校生が直面する大きな悩みです。土田氏は、自身の後輩でU-18日本選手権で優勝し、今年東京大学理科一類に現役合格した陸上部員の例を挙げます。彼は勉強と運動の時間の使い方が非常に巧みで、自分に必要なトレーニングや授業をカスタマイズしていました。例えば、多くの生徒が受講する高校3年生の数学の授業をあえて取らず、「自分の進度でやる方が理解しやすいし、トレーニングの時間も確保できる」と独自の流儀を確立していたのです。
個人的な見解として、土田氏は「勉強に専念する」という理由だけで部活動を辞めることはあまり推奨しないと述べています。その理由として、周囲に「勉強に専念するため」と説明した場合、それが自分への大きなプレッシャーとなり得ることを挙げています。たとえ周囲がそう思っていなかったとしても、「そのように思われているのではないか」と疑心暗鬼に陥り、精神的な負担が増大する可能性があるからです。また、周囲の友人が部活動を続けている姿を見て、自身の選択を後悔するケースも少なくありません。
もし部活動を辞めるのであれば、人間関係や怪我など、他の客観的な理由があった方が良いとアドバイスしています。「辞めるしかなかったんだ」と自分自身に納得させることで、精神的に落ち着き、スムーズに切り替えられることが多いからです。土田氏自身が部活動を最後まで続けたのは、中学生の頃に顧問から言われた「陸上を勉強の言い訳にするな。勉強を陸上の言い訳にするな」という言葉を胸に刻んでいたからだと言います。どちらからも逃げたくない、その方が格好良いという単純な感情が、両立の大きな原動力となったのです。
まとめ
部活動と受験勉強の両立は、確かに困難な道のりです。しかし、現役東大生の土田淳真氏の経験と分析が示すように、「メリハリ」のある時間管理と「目的意識」を持った取り組み方によって、目標達成は十分に可能です。安易に「勉強に専念する」という理由だけで部活動を諦めるのではなく、自分自身の心と向き合い、最適なバランスを見つけることが成功への鍵となります。部活動で培った精神力や課題解決能力は、受験勉強だけでなく、その先の人生においても貴重な財産となるでしょう。
Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/d09040e0538ccbacd891dafee28ccd66f7701ce7





