「今日、朝ごはん抜いてないですか?」
「寝不足? 真夜中に起きることが多くないですか?」
言われた相手は目を丸くして「なんでわかるんですか?」と驚く。
小池雅美医師は相手の見た目から、体の状態を言い当ててしまう特技を持つ。
その根拠となるのは無論、霊感の類ではなく、漢方・栄養療法のみならず、各種統合医療を通じて培ってきた豊富な経験にある。その人の顔貌、姿勢などから患者の栄養状態を言い当てる洞察力と血液データの読解力を駆使し、多くの患者を改善に導いてきた。
現在は外来の傍ら、全国で医師・医療従事者向けに栄養療法のセミナーを行い、業界でその名を知られる小池氏が、このたび初の著作「気分の9割は血糖値」を上梓。発売前からAmazon3部門で1位を独占するなど、大きな話題を呼んでいる。
「気分や集中力は血糖値の影響を強く受けています。だからこそ、血糖を安定させることは、ビジネスパーソンにとって『体調管理』を超えた戦略的スキルとなりえます。またそれを逆手にとれば、仕事術や人間関係の改善にも使うことができます」と小池氏。本稿では「受験に勝つ食事」について語る。
■栄養が足りない子どもは受験に勝てない
受験シーズンが近づくと、子どもの生活は一気に「座りっぱなし」になる。勉強量は増えるが、運動量は減る。
そのとき、体の中では何が起きているのだろうか。
実は、受験期の体は“動かなくても”消耗している。長時間の勉強や緊張はストレスとなり、交感神経を刺激してアドレナリンやコルチゾールが分泌される。
ストレス反応で代謝が亢進し、ビタミンB群やマグネシウムなどの補酵素の需要が増える。体内ではビタミンB群やマグネシウムがどんどん使われてしまい、代謝の効率が悪くなる。
つまり受験生は「動かないのに、栄養素を使い切っている」状態なのだ。
「脳を動かす燃料は糖」と思われていることが多いが、それだけではない。どんなに糖をとっても、代謝を回す栄養素が足りなければ、脳は“エンジン不調”のままである。パフォーマンスを維持するために栄養補給はあなどれない。
栄養素の中でも最も重要なのは体を作る材料=たんぱく質だ。筋肉・血液・ホルモンなどもすべてたんぱく質からできている。
たんぱく質が不足すると、筋肉量が減り、集中力や気分の安定にも影響が出る。





