求人が活発なコンサル業界。異業種からの転職組も増えてきている。一方、大量採用により業界のカルチャーも変化しつつあるという。AERA 2025年11月17日号より。
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高給、華やかなイメージのコンサルだが、実際は雑用も多い。一般企業からコンサルに転じ、複数社を経験した女性は現在「疲弊しきって、もう限界」とこぼす。
「最初に入った外資系は対前年比の売上高10%増がノルマ。各自の時間給が弁護士並みに高く設定され、クライアントごとの稼働時間を毎日入力。働き過ぎると請求額を超える『Write Off』の状態となり、結果として『サービス残業』が増えていきます。今の中小は逆に収益換算が適当。大手にかなわないので政府系機関などの低料金の仕事が多い。担当者によっては高飛車でコンサルを使い倒そうとするので、人が疲弊して次々に入れ替わっています」
『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』の著者・メン獄さん。自身も外資系大手のコンサル会社で12年間働いていた。
「当時は社員が約3千人、本当に様々な人がいました。中でも『ストラテジー部門』と呼ばれる戦略担当チームは全体の1割ほど。少数精鋭で、名刺も黒くエンボス加工されていたため、社内外ではちょっとした評判でした(笑)」
■戦略系は選ばれた存在
多くの人がイメージする“典型的なコンサル”は、パリッとしたスーツと巧みな話術でプレゼンを行う姿だろう。まさに、その姿を体現していたのが戦略系の人たちだ。
「戦略系の人は1時間あたりの報酬も他の部署より高いこともあります。そのため成果物にも“さすが”と思わせるレベルが求められます。発言もアウトプットもすべてがその単価に見合う内容でなければならない。良い意味で彼らは自分たちが“選ばれた存在”だという自負を持っているように見えました。思考や話し方も自然と似てくるんです」
ただし、誰もがそのレベルに達するわけではない。中にはクライアントに迷惑をかける「迷惑コンサル」も現れる。
「コンサルの仕事も他の商売と同様に、自分の目の前にいるクライアントに感謝され信頼されるような価値を地道に積み上げることに尽きます。ただ、業界が拡大し、コンサルの人数が増えるなかで、そういった当たり前のことを理解できていない人も増えてきた印象です」






