日中関係緊迫化の余波:台湾有事発言が韓国に及ぼす影響と反中デモ

高市早苗首相による「存立危機事態になり得る」との台湾有事に関する発言が、日中関係の緊張を急速に高めています。この発言は中国政府の強い反発を招き、日本への渡航自粛要請など対抗措置が講じられ、日本のインバウンド産業や在日中国人のビジネスにも深刻な影響が懸念されています。しかし、この日中間の緊張が予期せぬ形で隣国・韓国に波及し、新たな社会問題を引き起こしている現状が見えてきました。

日中関係緊迫化の背景と中国の対抗措置

2025年10月21日、高市早苗首相は就任後初の会見で、台湾有事のシナリオにおいて「存立危機事態になり得る」との見解を示しました。この発言に対し、中国側は直ちに強い反応を示し、自国民に対し日本への渡航を控えるよう呼びかけるなどの対抗措置を講じました。この措置は、かつて韓国がTHAAD配備を決定した際に実施された報復措置を想起させ、日中間の外交的緊張は一気に高まりました。日本国内では、特に観光業や小売業が、中国人観光客の減少による経済的打撃を懸念しています。

高市早苗総理大臣、就任後初の会見(2025年10月21日)高市早苗総理大臣、就任後初の会見(2025年10月21日)

韓国に波及する「反中感情」と中国人観光客の流れ

日中関係の悪化の思わぬ余波を受けているのが、韓国です。日本への渡航を自粛した中国人観光客が、代替として韓国へ流入していると報じられています。韓国政府は2025年9月29日から中国団体観光客へのビザ免除を開始しており、これを機に中国人観光客の増加が期待されていました。しかし、すでにビザ免除に反対する反中デモが頻発していたところに、日本から流れてきた中国人観光客が加わる形となり、地元住民からの反発がさらに強まっています。明洞や中華街といった主要観光地では、連日「チャイナ・アウト」を叫ぶデモ隊の姿が見られます。

韓国における反中デモの深層

韓国における反中感情とデモの背景には、2016年の在韓米軍へのTHAAD配備決定に対する中国の報復措置があります。当時、中国はK-POPを含む文化・芸能イベントの中止、韓国コスメの輸入停止、韓国への団体旅行販売禁止など、多岐にわたる経済的・文化的圧力を加えました。これにより、韓国国内では中国に対する反感が広がり、その感情は根深く残っています。2024年12月には、内乱罪で逮捕された尹錫悦前大統領が主張した「中国陰謀論」がデモの新たな引き金となり、反中運動は激化の一途をたどっています。デモの参加者からは、「日本がこんなにうらやましいと思ったことはありません。高市首相が本当によくやっています」と、中国に対して強硬な姿勢を見せる高市首相を評価する声も聞かれ、日中間の緊張が韓国内の感情にも影響を与えている実態が浮き彫りになっています。台湾人観光客が誤解を避けるため、「台湾から来ました」と書かれたバッジを身に着ける事例からも、その状況の深刻さが伺えます。

今後の展望

日中関係はいまだ好転の兆しを見せず、その影響は韓国にまで及んでいます。このような複雑な国際情勢の中で、日本国内からは「異文化共存がいかに難しいか」「韓国の宿泊業などインバウンドに直接関わる人の意見も聞いてみたい」といった声が上がっています。今後、日中そして中韓の関係がどのように推移していくのか、国際社会の動向が注目されます。