日本各地でクマによる被害が急増している。東京でも今年に入ってから目撃例が相次いでおり、「都民もクマ鈴が必要になる日が来る」という声すら聞かれる。
なぜ都心部でクマの目撃例が増えているのか。自然解説者・佐々木洋氏の『 新 都市動物たちの事件簿 』(時事通信社)より、東京や神奈川にツキノワグマが現れる「2つの理由」を抜粋して紹介する。(全4回の1回目/ つづきを読む )
◆◆◆
獣道に注意…“あの動物”の後にツキノワグマが通る
私は長年にわたり、テレビ朝日の「スーパーJチャンネル」という番組で野生生物の問題の解説を行っている。この町田市のツキノワグマの事件も取り上げることになり、2023年11月13日、番組のディレクターらとともに、今回ツキノワグマの目撃された現場へ向かった。ここは自分の住んでいる市内であるということもあり、いつも以上に徹底的に検証をするつもりであった。
自宅を出て1時間ほどで撮影場所に到着し、改めて「こんな近くにクマが出たのか」と背筋が寒くなった。
しかし、周辺でツキノワグマの痕跡を探すが、だいぶ時間が経っていることもあり、見つかるのはイノシシのものばかりだった。考えてみれば、ここにそれほどイノシシがいるということも、怖いことである。
やがて、私たちは、車道わきに立派な獣道を発見した。
私はここをツキノワグマも通った可能性が高いと判断した。なぜなら、その獣道は、イノシシ、ニホンジカなどの体重の重い哺乳類がわりと頻繁に通っていると思われる、幅の広い、そして、草がかなり平らに倒れた道だったからだ。
また、今までの各地での私の観察や調査では、どの獣道もたいてい複数の種類の哺乳類が利用していて、日数が経つとともにそこを通る動物にだんだん大型の種が加わっていく傾向がある。
今回の現場からさほど離れていない八王子市の緑地で調べたときも、初めのうちはニホンイタチ、テン、ノウサギなどが通り、やがてそれらにタヌキ、キツネ、アライグマなどが加わり、その後イノシシも通るようになった。






