高市首相の国会答弁に端を発した日中の対立は収束の気配を見せていない。問題発生直後は、「高市首相が悪い」派と「中国が悪い」派と「野党が悪い」派が存在しているように見えたが、急にそこに「朝日新聞が悪い」派も台頭してきている。
“騒動の拡大”に「朝日が一役買った」で思い出される過去の事例
この「朝日新聞が悪い」という主張は主に以下のようなものだ。
「高市答弁を受けて、中国の駐大阪総領事・薛剣(せつけん)氏がXに投稿した〈勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか〉という暴言は、その下に朝日新聞の速報が引用されている。
問題は、当初、この速報のタイトルが、
『高市首相、台湾有事〈存立危機事態になりうる〉 認定なら武力行使も』
となっていた点である。
このタイトルは、配信の6時間後には、
『高市首相、台湾有事〈存立危機事態になりうる〉 武力攻撃の発生時』
に変更されている。前者のほうが後者よりも武力行使に日本側が前のめりのように取れる。
後者の見出しであれば、『汚い首』のような激しい反応を呼ばなかった可能性が高い
つまり事態のエスカレートに朝日新聞が関与しているのは間違いない」
朝日新聞側は「汚い首」発言が投稿された日時を根拠に、こうした見方を否定しているが、ネット上では「朝日がまたやった」といった声も目立つ。近隣国との関係に緊張感が走る際、朝日新聞などいわゆる「リベラルメディア」が問題をややこしくしてきた、という意見を持つ人は少なくないからだ。靖国問題、従軍慰安婦問題はその典型だろう。
産経新聞元記者のジャーナリスト、三枝玄太郎氏は著書『メディアはなぜ左傾化するのか 産経記者受難記』の中で、自身が経験した「教科書問題」にまつわる騒動を取り上げている。これもまたメディア側が騒動の拡大に一役買った事例と言えるかもしれない。
三枝氏が宇都宮支局に在籍していた2001年、当地で起きた騒動を見てみよう(以下、『メディアはなぜ左傾化するのか 産経記者受難記』をもとに再構成しました)。
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