JR中央線沿線には、どこか文化的な雰囲気が漂う。東急田園都市線は、洗練されたファミリーが暮らす街。城東エリアは人情味にあふれ、湾岸のタワーマンション群は新しい富裕層の象徴――。私たちは、知らず知らずのうちに、沿線や街に対する漠然としたイメージを頭の中に描いています。ですが、そのイメージや空気感の正体とは、いったい何なのでしょうか。そして、私たちが当たり前のように感じている常識は、果たして本当の姿を映しているのでしょうか。
住む場所や沿線によって人々の暮らしや価値観は本当に違うのか? なぜ、あの街では「お受験熱」が高く、この街には「IT人材」が集まるのか? その背景にある都市の構造、歴史、そして人々の営みを、膨大なデータとともに解き明かしていく、知的な冒険の旅へ、『データでわかる東京格差』の著者、にゃんこそばさんに案内してもらいましょう。
会社や団体の役員は、経営判断や業務執行を行う責任あるポジション。会社規模などによってその影響力や報酬は異なりますが、ビジネスパーソンにとっては、キャリアの頂点に近いポジションといえるでしょう。
では、そうした役員層は、どのような街を住み家として選ぶのでしょうか。国勢調査のデータを用いて、彼らが集まる街を可視化すると、東京という都市が持つ社会経済的な凹凸が見えてきます。
■港区、千代田区では「50代男性の約4人に1人」が役員
はじめに、50〜59歳の男性就業者に占める会社・団体役員の割合を見てみましょう(図1)。
出典は総務省統計局「令和2年(2020年)国勢調査」です。今回使用した統計表には、都道府県、政令指定都市、人口50万人以上の都市と、東京23区の各区のデータが含まれています。年齢を50代に限定したのは、会社・団体役員が50代〜60代に偏っているため、市区町村による年齢構成の違いが結果に与える影響を抑えることが目的です。






