■冬のトイレが膀胱の健康と関係?
冬になると、“トイレが近くなった”と感じることも多いのではないでしょうか。寒さで水分を控えめにしているはずなのに、なぜか頻繁にトイレに立ってしまう。
これは、体が寒さにさらされたときに起こる「寒冷利尿」という生理反応が原因です。寒さで血管がぎゅっと縮むと、体は余分な水分を尿として排出しようとします。その結果、膀胱に尿がたまりやすくなり、いつもよりトイレが近くなるのです。
一見ただの季節的な変化に思えますが、実はこの状態こそ、女性に多い膀胱炎を引き起こしやすい落とし穴にもなります。気付かないうちに膀胱への負担を増やし、細菌が増えやすい環境を作ってしまうのです。
膀胱炎には冬場の冷えが大敵です。
下半身が冷えると血行不良になり、膀胱まわりの免疫機能が低下します。特にデスクワークが多い方は、長時間座りっぱなしで下半身の血流が悪くなりがちです。
寒いからとトイレを我慢してしまうことも、細菌増殖の原因になります。年末の繁忙期と重なることも多く、寝不足やストレス、疲労で体の抵抗力が落ちていることも関係します。
尿量が減ると細菌を洗い流す力も弱まります。尿量の重要性は冬場も同じで、意外に思われるかもしれませんが、夏と同様、冬場も意識的な水分補給が必要です。
■膀胱の働き
私たちの膀胱は、大型ペットボトル1本分、毎日約1.5Lもの尿をため、腎臓で濾過された老廃物や毒素ごと体外へ排出しています。
膀胱の容量は通常200〜400mLほど。尿が150〜200mL程度たまると「そろそろトイレに行きたい」という感覚が生まれ、300〜400mLに達すると強い尿意を感じます。健康な人なら1日に5〜8回程度の排尿が一般的で、この排泄のリズムが整っていることが、体内に毒素をためない健康の基本です。
膀胱はまた、常に感染のリスクにさらされている臓器でもあります。
特に女性の尿道は3〜4cmと短く、しかも腟や肛門に近い位置にあります。男性の尿道が17〜20cmあることと比べれば、いかに細菌が侵入しやすい構造かがわかるでしょう。
この体の構造上の特徴により、成人女性の2人に1人が生涯に一度は膀胱炎を経験し、そのうち4人に1人が膀胱炎を繰り返すのです。
■膀胱の健康=腎臓の健康
膀胱の健康を考えるうえで忘れてはならないのが、腎臓との密接な関係です。






