「潜入調査のために変えてもらった顔と声、全っ然元に戻らないんだけど！」この驚くべきセリフとともに、スーパー戦隊シリーズ『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』（テレビ朝日系）は、作品の大きな危機を見事な機転で乗り切った。シリーズの女性戦士、ゴジュウユニコーン／一河角乃役の女優が緊急降板するという未曾有の事態を受け、以降の放送がどのように展開されるのかに注目が集まっていたが、そのピンチを救ったのが志田こはくである。2022年放送の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でオニシスター／鬼頭はるか役を演じた彼女の登場は、ファンの間で大きな歓迎と期待をもって受け入れられ、放送後もSNSでは賞賛の声が溢れた。
志田こはく、窮地の『ゴジュウジャー』を救う
さまざまな報道が伝えている通り、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』は、主要キャストの一人であるゴジュウユニコーン／一河角乃役の女優が緊急降板するという困難に直面した。これにより、番組制作側は今後のストーリー展開やキャラクター描写において大きな課題を抱えることになった。そんな中、11月30日放送の第40話より、新キャストとして志田こはくが発表されたことは、シリーズファンにとって大きなニュースとなった。志田は、記憶に新しい『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でのオニシスター役で強烈な印象を残しており、その実力と人気から、今回の代役は非常に好意的に受け止められたのである。
『ドンブラザーズ』で培われた“陽性”の魅力
志田こはくの代役がこれほどまでに歓迎された背景には、彼女が『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で培った独特の魅力がある。同シリーズは、コメディ要素が色濃く出た異色の作風で、その中で志田が演じたオニシスター／鬼頭はるかは、いわゆる“顔芸”をも厭わない体当たりの陽性な演技で多くのファンの心を掴んだ。特に、彼女にスポットが当たったメイン回の一つである第40話の運転免許取得回では、そのコメディエンヌぶりと「暴走」ぶりが遺憾なく発揮され、今なお名（迷？）エピソードとして語り継がれるほど愛される戦士であった。その志田が、まさか現行作品のピンチに際し、オニシスターとしてではなく、ゴジュウユニコーン役を引き継ぐ形で帰還したことは、ファンにとってまさにサプライズであった。
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』出演時の志田こはく、その魅力的な演技が好評を博した。
『ゴジュウジャー』劇中の「力技」が視聴者の心掴む
実際に放送された内容は、冒頭のセリフが示す通り、これまで出演してきた一河角乃の顔と声が変わってしまったという、ある意味“力技”とも言える大胆な設定変更であった。しかし、その開き直ったかのようなあまりにも豪快な「力技」は、視聴者に笑いをもたらし、志田こはくが番組内外の空気を瞬時に一変させた。さらに、「オニかわいい♡」と鬼の角ポーズのような仕草を頭上で披露したり（鬼の2本角からユニコーンの1本角に変化させるという芸の細かさも加わり）、同戦隊のゴジュウティラノ／暴神竜儀がお化け屋敷で鬼の扮装をしているところを「ところでアンタ、なんで鬼にしたの？」とツッコミを入れるなど、オニシスター要素満載の演出が盛り込まれた。顔芸も惜しみなく披露され、ピンチを攻めの笑いで見事に乗り切ったのである。いったんは変身後のユニコーンの姿のみが登場する形で編集されていた番組のオープニング主題歌映像も、志田が加わる形で再撮影されたパートが加えられ放送され、その映像内で披露されるキレキレの全力ダンスもまた、視聴者からの評価をさらに高めている。
スーパー戦隊シリーズの歴史に見る「俳優交代劇」
通算50作にもおよぶスーパー戦隊シリーズの長い歴史の中で、変身前の俳優の交代劇は、その理由は多岐にわたるものの、実は過去にも何度か存在した。制作上の都合や俳優個人の事情など、さまざまな背景からキャスト変更が行われてきたが、今回の志田こはくのケースは、その過去の事例と比較しても、視聴者からの圧倒的な支持と、番組側の大胆かつユーモラスな対応が際立っていると言えるだろう。
結論
志田こはくの『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』への緊急代役は、単なるキャスト変更以上の意味を持つ出来事であった。彼女の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で培われたユニークなキャラクター性と高い演技力、そして番組が劇中で見せた「力技」と遊び心ある演出が相まって、予期せぬ危機を視聴者にとってポジティブな話題へと転換させた。志田は、その存在感とサービス精神で、作品に新たな息吹を吹き込み、スーパー戦隊シリーズの歴史にまた一つ、記憶に残るエピソードを刻んだと言えるだろう。
