●はじめに
以下に掲載するのは、2025年11月9日、三鷹市で開催された集会での三鷹事件再審弁護団の主任弁護人・野嶋真人弁護士の特別報告だ。請求人である竹内健一郎さんの死去によって三鷹事件の第3次再審請求は一旦、終了することになった。この間の経緯はどうだったのか、再審請求はこれからどうなるかなど、この報告は、とても重要な内容を含んでいる。これまで進められてきた再審請求の新証拠などの内容についても説明がなされた。
その報告内容を文章に起こし、野嶋弁護士の確認もいただいた。新証拠とされたパンタグラフの問題など、三鷹事件再審請求の問題にこれまで触れてこなかった読者にはわかりにくい点もあるかもしれないので、別稿でこれまでの経緯も報告している。2011年から行われてきた再審請求は重大な局面を迎えることになってしまったが、多くの方々の努力でぜひ再審請求を継続できるようお願いしたい。
この間の報道では断片的にしか伝えられておらず、2025年春以降、いったいどういう事態が起きて、現状がどうなっているのか。以下、野嶋弁護士の報告をお読みいただきたい。(編集部)
請求人・竹内健一郎さんの死去をめぐる経緯
既に報道されていますが、三鷹事件の再審請求の請求人である竹内健一郎さんが残念なことに5月7日に亡くなりました。
最後にお会いしたのは昨年12月21日で、その時にビデオ撮影もしています。お元気な様子を見て安心しました。その後、追加の撮影でスタッフが今年3月にも伺って、元気だったという報告も受けていました。
ちょうどその時期は、検察側が3月末までに反論の意見書を出すことになっており、4月に三者協議をやりたいと考えていたのですが、検察が裁判所に延期を申し出て提出が6月末に延びたんです。
竹内さんが亡くなられた5月というのは、まさに検察から反論の書面が出るのを待っていた時期でした。ただ正直、胸騒ぎみたいものも感じていました。間が空きすぎると心配だから会いに行った方がいいのかなという気持ちも少し持っていたのも事実です。
検察側からはさらに1カ月延ばしてほしいという申し出があって、7月にようやく反論の書面が出てきました。それに対してこちらから再反論の書類を出して、それを踏まえて裁判所で第1回の三者協議が開かれたのが7月24日でした。検察官がコロナにかかって欠席すると直前に言ってきて、現実的には私らと裁判官で協議をし、数日後に検察官と裁判所が会うという変則的な形になりました。その時に既に裁判官は証人尋問を実施したいということを事実上述べておられたので、これは脈があるなと我々としては期待していました。
次の三者協議が開かれたのが10月3日で、その日に正式に証人尋問が決まりました。そこでその翌日の10月4日に、竹内さんに朗報をお伝えしようと、吉野弁護士と私の2人でご自宅を訪ねたのです。ただ、ピンポンと呼び鈴を押しても返事がないので「お留守なのかな」と思いつつドアをノックして、一応ドアノブが開くかどうか試してみたら開いたんです。
そしたら中が空き室になっていて、きれいに片付けられ、清掃までしてある感じでした。私たちは、健一郎さんが亡くなっているとは思わず、体調がよくなく入院が必要な状態であることがわかっていたので、要介護施設のようなところに入所されたのかなと思ったんです。
そして、私の方で住民票の取り寄せを行いました。10月14日付で発行された住民票を翌日ぐらいに入手できて、それを見たところ、5月7日付で健一郎さんが亡くなられていることがわかったのです。
これがこの間の経緯です。
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