【日本の刑務所】激変!消える号令、増える「獄死」…無期懲役囚に迫る現実

近年、日本の刑務所は大きな変化の波にさらされています。かつて当たり前だった行進中の号令は姿を消し、受刑者を「さん」付けで呼ぶなど、対話を重視した矯正教育が進んでいます。一方で、厳罰化の影響で無期懲役の終身刑化が進み、刑務所内で死亡する「獄死」も増加傾向にあります。今回は、変わりゆく日本の刑務所の実態と、無期懲役囚たちの過酷な現実について迫ります。

消えゆく号令、変わりゆく刑務所

かつて刑務所では、受刑者が一糸乱れぬ行進を行い、号令が響き渡るのが当たり前の光景でした。しかし、現在ではその号令は廃止されつつあります。

千葉刑務所の外観千葉刑務所の外観

千葉刑務所は、長期刑受刑者を収容する刑務所で、650人以上の受刑者が生活しています。その半数以上が無期懲役囚で、彼らは「死刑を免れた男たち」とも呼ばれています。

長年、刑務所の象徴であった行進中の号令は、元々はヤクザが始めた歩き方を他の受刑者が真似したことがきっかけだったと言われています。しかし、時代と共にその必要性が疑問視され始め、現在では多くの刑務所で廃止されています。

長年刑務所で過ごしてきた受刑者の中には、この変化に戸惑いを感じる人も少なくありません。

「毎日のように号令で動いてきたので、急に無くなると、あれ?という感じになる」(殺人罪で無期懲役、服役28年の受刑者)

一方で、厳しい規則の中で過ごしてきた受刑者の中には、以前の厳格さを懐かしむ声も聞かれます。

「私は厳しくしてもらった方が、ルールがきちんとしていて過ごしやすかった」(強盗殺人・死体遺棄罪で無期懲役、服役22年の受刑者)

号令の廃止だけでなく、刑務官が受刑者を「さん」付けで呼ぶなど、人間関係にも変化が見られます。

「たかが名前だけど、『さん』付けかどうかで心の開き方が違う。自分たちも人間なので」(強盗致死罪で無期懲役の受刑者)

「(刑務官との間に)違った距離感が生まれた感じ」(殺人罪で無期懲役、服役28年の受刑者)

これらの変化は、受刑者の社会復帰を促すための試みとして行われています。しかし、長年刑務所という閉鎖された空間で過ごしてきた受刑者にとって、社会復帰は容易ではありません。

無期懲役囚に迫る「獄死」の現実

日本の刑法では、無期懲役は「終身刑」ではなく、仮釈放の可能性が残されています。しかし、近年は厳罰化の影響で、無期懲役囚の仮釈放が認められるケースは減少傾向にあります。

そのため、刑務所内で高齢化が進み、病気や老衰によって死亡する「獄死」が増加しています。

無期懲役囚たちは、いつ仮釈放されるか分からないまま、長い年月を刑務所で過ごすことになります。その間、家族との面会や手紙のやり取りだけが、数少ない心の支えとなっています。

まとめ

日本の刑務所は、社会復帰を重視した矯正教育へと変化を遂げています。しかし、厳罰化の影響で無期懲役の終身刑化が進み、「獄死」が増加しているのも事実です。

無期懲役囚たちの現実と、彼らが抱える苦悩について、私たちはもっと深く知る必要があるのではないでしょうか。