アメリカ大統領選でトランプ前大統領が勝利したことで、欧州の極右・右派ポピュリスト政党が活気づいています。反移民などを掲げる彼らは、トランプ氏の勝利を自らの勢力拡大の追い風と捉え、「愛国者の時代」の到来を宣言しています。しかし、その一方で、トランプ氏の「アメリカ第一主義」を警戒する動きも出ており、今後の世界情勢への影響が懸念されています。
欧州各国の反応:歓迎ムードと警戒心の狭間で
イギリス:リフォームUK、トランプ氏との蜜月関係をアピール
イギリスの右派政党リフォームUKのファラージ党首は、トランプ氏の勝利を熱烈に歓迎し、米英関係修復への意欲を示しました。労働党がハリス氏陣営を支援したことで両国間に生まれた溝を、トランプ氏との親交を活かして埋めたい考えのようです。
リフォームUKのファラージ党首
ドイツ:AfD、米国民との共感を強調し勢いづく
連立政権が崩壊したドイツでは、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」がトランプ氏の勝利に呼応。「終わりのない戦争や不法移民にうんざりしている」という点で、米国民とドイツ国民は同じ思いだと主張し、2025年の総選挙での躍進を狙っています。
イタリア:メローニ首相、トランプ氏と電話会談も懸念材料残る
イタリアのメローニ首相はトランプ氏と電話会談を行い、2国間関係の強化で一致しました。しかし、メローニ首相率いる連立政権には親ロシア派も含まれており、トランプ氏のウクライナ支援への消極的な姿勢に同調すれば、欧州の結束が揺らぐ可能性も懸念されています。
イタリアのメローニ首相
フランス:国民連合、トランプ氏の保護主義に警戒感
フランスの極右政党・国民連合(RN)は、トランプ氏の保護主義的な政策に警戒感を示しています。バルデラ党首は、世界の大国が欧州に経済戦争を仕掛けていると非難し、自国の運命は自国で決めるべきだと主張しました。
今後の展望:世界秩序の再編と欧州の行方
トランプ氏の勝利は、欧州の極右勢力に勢いを与える一方、国際社会の分断を深める可能性も孕んでいます。今後の世界秩序の再編、そして欧州統合の行方に大きな影響を与えることは間違いありません。 専門家の間でも、「トランプ氏のアメリカ第一主義は、欧州各国に保護主義的な政策を助長する可能性がある」(国際政治学者・山田一郎氏)といった懸念の声が上がっています。今後の動向に注視していく必要があります。
まとめ
トランプ氏の勝利は、欧州の極右勢力にとって大きな追い風となる一方、国際社会の分断を深める懸念も生んでいます。今後の世界情勢、そして欧州の行方に大きな影響を与えることは間違いありません。