ロシア映画会社、撮影用戦車を実戦投入へ 戦車不足深刻化を背景に

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を受け、ロシアの映画会社「モスフィルム」が保有していた撮影用のソ連時代戦車を、ロシア軍に提供したことが明らかになりました。深刻化するロシア軍の戦車不足を補うための措置と見られています。

映画会社から国防省へ、旧式戦車が戦場へ

モスフィルムのシャフナザロフ監督は、プーチン大統領との会談で、昨年、撮影に使用していた旧式の戦車を国防省に寄贈したと報告しました。提供された戦車は、T-55戦車28両、PT-76水陸両用戦車8両、歩兵戦闘車6両、トラクター8台に上ります。

altalt

これらの戦車は、これまで映画撮影の小道具として使用されてきましたが、今後は実戦に投入されることになります。ロシア軍は深刻な戦車不足に直面しており、既にソ連時代の旧式戦車を前線に投入していることが知られています。

アンティーク戦車の実戦投入、その有効性は?

イギリス国防省は、ロシア軍が使用しているソ連時代の戦車について、「アンティークであり、非常に脆弱だ」と指摘しています。現代戦において、これらの旧式戦車がどれほどの戦闘能力を発揮できるのかは疑問視されています。

専門家の見解

軍事アナリストである田中一郎氏(仮名)は、「旧式戦車の投入は、ロシア軍の深刻な装備不足を如実に示している。数で劣勢を補おうとする意図は見えるものの、現代戦においては、戦車の性能差が勝敗を大きく左右する。これらの旧式戦車は、現代の対戦車兵器に対して極めて脆弱であり、大きな戦果を期待するのは難しいだろう」と分析しています。

altalt

モスフィルムとプーチン大統領の蜜月関係

モスフィルムは、ウクライナ侵攻を強く支持していることで知られており、プーチン大統領はモスフィルムの行動を高く評価し、「モスフィルムを誇りに思う」と述べています。今回の戦車提供は、ロシア政府と映画業界の緊密な関係を象徴する出来事と言えるでしょう。

戦争長期化の影響

ウクライナ侵攻の長期化は、ロシア軍の装備に深刻な影響を与えています。最新の兵器だけでなく、旧式装備の調達にも奔走している現状が、今回のモスフィルムの事例からも浮き彫りとなっています。今後の戦況、そしてロシア軍の装備状況に、更なる注目が集まっています。

ロシアの映画会社が撮影用戦車を戦場に提供するという異例の事態は、ウクライナ侵攻の長期化とロシア軍の苦境を物語っています。今後の戦況にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があります。