ウクライナ侵攻におけるロシア軍の無人機(ドローン)攻撃が激化し、首都キーウの防空網を揺るがしています。jp24h.comは、キーウ近郊で防空任務に当たるウクライナ空軍の部隊を取材し、最前線の現状と新たな脅威について迫りました。
ドローン攻撃の倍増と多様化する戦術
キーウはウクライナの首都であり、政治・経済の中心地として強固な防空体制が敷かれています。しかし、近月に入りロシア軍のドローン攻撃は激化の一途を辿り、市民の安全を脅かしています。部隊のヤロスラフ少尉は、「ここ2~3ヶ月でドローン攻撃の規模は2倍に増えた」と深刻な状況を明かしました。
ウクライナ空軍の防空部隊員が携帯型地対空ミサイルを構える様子
ロシア軍は、防空システム突破のために巧妙な戦術を用いています。5~6機のドローンを密集させてレーダー上では1機に見せる編隊飛行を行い、キーウ近郊で一斉に分散させるのです。この編隊には「おとり」として安価で低性能な厚紙製ドローンが混ざっており、ウクライナ側の迎撃ミサイルの浪費を誘図しています。
厚紙ドローン「おとり作戦」の脅威
この「おとり作戦」は、ウクライナ軍にとって大きな脅威となっています。低性能機への対応に気を取られている間に、他のドローンが防空網をくぐり抜ける危険性があるからです。軍事専門家である田中一郎氏(仮名)は、「この戦術は、コストパフォーマンスに優れた効果的な戦法と言える。ウクライナ側は限られた資源を効率的に運用する必要に迫られている」と指摘しています。
殺傷能力の高い新型ドローンの出現
おとり作戦に加えて、ロシア軍は高温・高圧の衝撃波を発生させる弾頭を搭載した新型ドローンも投入しているとみられています。部隊は、ロシア側の狙いは、こうした殺傷能力の高いドローンをキーウに侵入させることだと分析しています。実際、10月下旬にはキーウの高層住宅がドローン攻撃を受け、火災が発生し10代の少女が命を落とす痛ましい事件も発生しました。
防空システム強化の必要性
ウクライナ側は、こうした新たな脅威に対抗するため、防空システムの強化を急務としています。より高性能なレーダーや迎撃ミサイルの導入、そして早期警戒システムの構築などが喫緊の課題です。国際社会からの支援も不可欠であり、ウクライナへの更なる軍事支援が求められています。
キーウの安全保障の未来
ロシア軍のドローン攻撃は、キーウ市民の生活に大きな影を落としています。防空部隊は昼夜を問わず警戒を続け、市民の安全を守っていますが、更なる攻撃の激化も懸念されています。ウクライナ紛争の終結、そしてキーウの平和な日々を取り戻すためには、国際社会の協力と努力が不可欠です。