香港民主派45人に禁錮刑、大規模な弾圧で活動に壊滅的打撃

香港の民主派活動家45人に対し、2020年に行われた立法会選挙の予備選を巡る国家安全維持法違反で、禁錮刑が言い渡されました。最大10年の実刑判決は、既に低迷する香港の民主化運動にとって更なる打撃となり、今後の活動に暗雲が立ち込めています。

国家安全維持法違反で民主派45人に禁錮刑、香港の民主化運動の行方は?

2024年11月19日、香港高等法院(高裁)は、2020年7月に行われた民主派による立法会選挙予備選に関与した45人に対し、国家安全維持法(国安法)違反の罪で禁錮刑を言い渡しました。判決は4年2ヶ月から最大10年と、国安法違反事件としては最大規模の量刑となっています。 この予備選は、民主派候補者を選別し、立法会選挙で過半数の議席獲得を目指したもの。高裁は、予備選を通じた政府予算案否決や行政長官の辞任要求は「香港政府の法執行への重大な妨害、破壊」にあたり、国安法の国家政権転覆罪に相当すると判断しました。

香港の裁判所で、警官が警戒する中、傍聴に向かう住民ら香港の裁判所で、警官が警戒する中、傍聴に向かう住民ら

著名な民主活動家らに重い判決、民主派への影響は?

今回の判決で最も重い禁錮10年の判決を受けたのは、予備選を企画した戴耀廷・香港大元准教授です。2014年の雨傘運動の提唱者としても知られる戴氏は、民主派の理論的支柱として活動してきました。 また、若手民主活動家の黄之鋒氏も禁錮4年8ヶ月の判決を受けました。黄氏は、既に解散した民主派団体「香港衆志」(デモシスト)の幹部でした。その他、民主党、公民党、社会民主連線など主要な民主派政党の関係者も含まれており、香港の民主化運動への打撃は計り知れません。香港の政治評論家、林家輝氏(仮名)は「今回の判決は、香港の民主化運動を根底から揺るがすものだ」と述べ、今後の活動への深刻な影響を懸念しています。

既に低迷する民主化運動、更なる弾圧で活動は風前の灯火

国安法施行後、香港の民主化運動は既に低迷していました。立法会選挙は延期され、選挙制度も親中派に有利な仕組みに変更。2021年12月の選挙では民主派は議席を全て失いました。今回の大規模な弾圧は、残された民主派の活動にも更なる萎縮効果をもたらすと予想されます。民主党元主席の劉慧卿氏は、「これまでもデモを行わず、発言にも慎重であったが、今回の判決を受け、更に慎重にならざるを得ない」と語り、今後の活動への制約を示唆しています。 香港の未来を案じる市民の声も高まっており、今後の香港情勢は予断を許さない状況です。

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香港の民主主義の未来はどこへ向かうのか

今回の判決は、香港の民主主義の未来に暗い影を落とすものです。表現の自由や政治参加の権利が制限される中、香港市民はどのような未来を描けるのでしょうか。国際社会は、香港の民主主義の後退に強い懸念を示しており、今後の動向が注目されます。