沖縄県ワシントン事務所問題:公務員の兼職状態を認める

沖縄県が米国に設立したワシントン事務所の運営をめぐり、駐在職員のビザ取得方法に問題があったことが発覚しました。職員が公務員でありながら、実態のない株式会社の役員を兼任していた事実が明らかになり、県議会で大きな波紋を呼んでいます。

ワシントン事務所設立の背景と問題点

沖縄県は、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題などについて、米政府に直接訴えるため、2015年にワシントン事務所を開設しました。しかし、米政府から事業者登録を拒否されたため、職員が企業の転勤者向けビザ(Lビザ)を取得できるよう、県全額出資の株式会社を設立。職員は「社長」などの肩書きでビザを取得し、公務員と会社員の兼職状態になっていました。

沖縄県庁沖縄県庁

この手法は、地方公務員法で禁じられている営利企業の役員兼任に抵触する可能性があり、県議会で追及を受けていました。当初、県は兼職には当たらないと主張していましたが、3日の県議会本会議で、溜政仁知事公室長が兼職状態であることを認め、謝罪しました。

県の対応と今後の展望

県は今後、地方公務員法に基づき、知事に兼職許可の手続きをとる方針です。また、兼職許可を申請していなかった点については、事実関係を精査し、懲戒処分の対象となるか判断するとしています。

玉城デニー知事の謝罪玉城デニー知事の謝罪

ワシントン事務所の運営をめぐっては、議会への経営状況報告の未実施や、保有株式の公有財産未登録などの問題も明らかになっています。玉城デニー知事は、県民の信頼を損なったことを謝罪し、速やかな調査と是正を約束しました。

専門家の見解

行政法に詳しい中央大学法学部の山田教授(仮名)は、「公務員の兼職は、職務の公正性や利益相反の観点から厳しく制限されている。今回のケースは、その趣旨に反する可能性があり、県の対応が問われる」と指摘しています。

まとめ

沖縄県ワシントン事務所の運営を巡る問題は、公務員の倫理規定や透明性確保の重要性を改めて問うものです。県は、徹底的な調査と再発防止策の策定に取り組み、県民の信頼回復に努める必要があります。今後の動向に注目が集まります。