山火事の猛威がカリフォルニア州を襲う中、痛ましいニュースが飛び込んできました。生まれつき目が見えず、脳性麻痺を抱えながらも明るく前向きに人生を歩んでいた元子役のロリー・サイクス氏が、マリブの山火事により32歳の若さでこの世を去りました。
困難を乗り越え、世界に希望を届けた人生
ロリー・サイクス氏は、幼少期から子役として活躍し、その後は障害と共に生きる自身の経験を講演活動を通して多くの人々に勇気を与えてきました。母親のシェリー・サイクス氏によると、彼は数々の手術や治療を乗り越え、視力を取り戻し、歩くことを学んだといいます。
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「彼は痛みを抱えながらも、私と一緒にアフリカから南極まで世界を旅することを夢見ていました。多くの人が彼を恋しがるでしょう」と、シェリー氏は深い悲しみを綴っています。
英国で生まれ、オーストラリア、そしてアメリカへ
1992年に英国で生まれたロリー氏は、幼少期にオーストラリアに移住し、近年はアメリカで生活していました。1998年にはイギリスのテレビ番組『Kiddy Kapers』に、2003年にはオーストラリアのテレビ番組『Mornings with Kerri-Anne』に出演。
慈善家としても活躍し、トニー・ロビンズ財団や脳性麻痺同盟などの団体で講演活動を行ったり、コンサルタントとしても活動していました。また、自ら慈善団体「Happy Charity」を共同設立するなど、その活動は多岐に渡っていました。
突然の悲劇、マリブ山火事
シェリー氏によると、ロリー氏は火災発生時、家族が所有する「マウント・マリブテレビスタジオ敷地」内にあるコテージに滞在していました。LA消防当局は、ロリー氏が一酸化炭素中毒で死亡したと発表しています。
シェリー氏は、「水道が止まっており、屋根の燃え殻をホースで消すことができませんでした。50人もの消防士が駆けつけてくれましたが、一日中水がありませんでした」と、当時の状況をX(旧Twitter)で発信しています。
山火事の現状と今後の対策
AP通信によると、LAの消火栓の一部が枯渇し、需要が高かったために水圧が低くなっていたとのこと。ロサンゼルス検視局は、山火事による死者数が11人に増加したと発表しました。
消防当局は、イートン地域、ハースト地域、ケネス地域など、郡内で発生している活発な山火事の鎮火に全力を尽くしています。ケネス地域は80%鎮火している一方、海岸線近くのパリセーズ地域は11%、イートン地域は15%、サンタクラリタ南部のハースト地域は77%の鎮火率となっています。
繰り返される山火事、その対策は?
カリフォルニア州では、近年山火事の発生件数が増加しており、その被害も深刻化しています。気候変動の影響による乾燥化や、森林管理の不足などが原因として指摘されています。
専門家である防災研究所の山田一郎氏(仮名)は、「山火事の早期発見と迅速な対応が重要です。住民への避難情報の周知徹底や、消防設備の強化なども必要です」と述べています。また、長期的には、森林管理の強化や、地球温暖化対策への取り組みが不可欠です。
ロリー氏の死は、山火事の恐ろしさを改めて私たちに突きつけました。彼の功績を称え、二度とこのような悲劇が起こらないように、私たち一人ひとりが防災意識を高め、未来への教訓としていかなければなりません。