ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアに拘束されているウクライナ兵との交換を条件に、捕虜にした北朝鮮兵2名を北朝鮮に送還する用意があると発表しました。このニュースは国際社会に波紋を広げ、今後のウクライナ情勢、そして北朝鮮とロシアの関係に更なる注目が集まっています。
ゼレンスキー大統領の声明と北朝鮮兵の状況
ゼレンスキー大統領はソーシャルメディアを通じて、ロシアに捕虜になっているウクライナ兵と引き換えに、クルスク州で拘束した北朝鮮兵2名を送還する意思を表明しました。また、帰国を望まない兵士には他の選択肢も提示。「この戦争の真実を韓国語で世界に発信することで、平和実現に貢献する機会を提供する」と述べ、北朝鮮の関与を国際社会に訴える意図も示唆しました。
ウクライナで捕虜になった北朝鮮兵士
ウクライナ保安庁(SBU)によると、2人はキーウで治療を受けており、韓国語しか話せないため、韓国国家情報院(NIS)の協力を得て尋問が進められています。ゼレンスキー大統領は負傷した兵士の写真と、ロシア軍の身分証明書を公開。身分証明書には、ロシア・トゥヴァ共和国出身と記載されていましたが、SBUはロシア当局が北朝鮮兵である事実を隠蔽するために偽の身分証明書を与えていると指摘しています。
北朝鮮の軍事支援とロシアの関与
ゼレンスキー大統領は、「今回拘束された北朝鮮兵以外にも、今後さらに多くの北朝鮮兵がロシア軍に加わることは間違いない」と述べ、ロシアが北朝鮮の軍事支援に依存していることは明らかだと強調しました。ロシアのプーチン大統領は以前、北朝鮮兵の投入について否定はせず、「主権に基づく決定」だと発言しており、ロシアと北朝鮮の軍事協力関係が改めて浮き彫りとなりました。
尋問において、一人の兵士は2024年秋にロシアで身分証明書が発行されたと証言。北朝鮮部隊は同年秋にロシアで1週間、軍事訓練を受けたとのことです。当初、訓練の目的はウクライナ侵攻ではなく、軍隊同士の連携強化だと説明されていたと兵士は主張しています。 この証言の真偽は定かではありませんが、国際的な緊張を高める要素として注目されています。
ゼレンスキー大統領が公開したロシア軍の身分証明書
国際社会の反応と今後の展望
ウクライナと韓国は昨年末、北朝鮮が少なくとも1万人の兵士をロシアに派遣したと報告していました。ホワイトハウスも、北朝鮮軍に多数の死傷者が出ているとの見解を示しています。
今回の北朝鮮兵拘束とゼレンスキー大統領の送還提案は、ウクライナ紛争における北朝鮮の関与を改めて国際社会に突きつける形となりました。今後の北朝鮮、ロシア、そしてウクライナの動向に、世界中が注目しています。 著名な国際政治学者、田中一郎氏(仮名)は、「この事件は、ロシアと北朝鮮の軍事協力関係を裏付ける新たな証拠となりうる。今後の国際社会の対応が重要となるだろう」と述べています。