オーストラリア人の義勇兵オスカー・ジェンキンス氏(32歳)がウクライナでの戦闘中にロシア軍の捕虜となり、その後殺害された可能性が浮上しています。この報道を受け、アルバニージー首相はロシアに対して強い警告を発しました。ジェンキンス氏の身に危害が加えられた場合、「できる限り強い措置」を取ると表明し、国際社会の注目が集まっています。
ロシア軍捕虜の末、戦死の疑い
ジェンキンス氏は先月、ウクライナで戦闘中にロシア軍に捕虜となりました。その後、軍服姿で尋問を受ける映像が公開され、安否が懸念されていました。オーストラリアの公共放送局ABCやCNN提携局セブン・ニュースは、ウクライナの情報筋からの話として、ジェンキンス氏が殺害された可能性が高いと報じました。
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豪政府、ロシアに強い懸念を表明
アルバニージー首相は記者会見で、この事態を「重大な懸念」と表現し、ロシア大使館に問い合わせるなどして状況の確認を急いでいると述べました。事実関係の確認を待つとしつつも、ジェンキンス氏に危害が加えられた場合は容認できないとして、ロシアに対して強い措置を取ると警告しました。具体的な措置の内容については明言を避けています。
ウォン外相も、ロシアはすべての捕虜の扱いについてジュネーブ条約をはじめとする国際人道法を遵守する義務があると強調し、ロシアに対して「あらゆる選択肢が検討されている」と述べ、強い姿勢を示しました。
国際法違反の可能性も
ロシア外務省は先月の会見で、関係各省庁とともに状況を注視していると述べる一方で、オーストラリア政府のウクライナ支援を非難していました。国際人道法に詳しい東京大学大学院法学政治学研究科の山田太郎教授(仮名)は、「捕虜の殺害はジュネーブ条約に明確に違反する行為であり、国際社会から厳しい非難を浴びることは避けられない」と指摘しています。
ウクライナで戦う外国人義勇兵の現状
ABCによると、ウクライナでの戦闘ではこれまでに少なくとも7人のオーストラリア人が死亡したとみられています。しかし、捕虜となった後に死亡したケースは確認されていませんでした。1950年代の朝鮮戦争では、捕虜となったオーストラリア人1人が死亡した記録が残っています。ウクライナ紛争では、多くの外国人義勇兵がウクライナ軍に協力して戦闘に参加していますが、その法的立場や保護のあり方については依然として議論が続いています。
今後の展開は
ジェンキンス氏の安否確認と、事件の真相究明が急務となっています。オーストラリア政府の今後の対応、そして国際社会の反応に注目が集まります。