韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する逮捕令状執行が15日未明、再び動き出しました。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)と警察は、3日の初回執行失敗から12日ぶりに、大統領官邸付近に捜査員を派遣。警護処との緊迫した対立が再び始まりました。
執行2回目、人員増強で長期戦も辞さず
3日の1回目の執行では、警護処の強力な抵抗により、公捜処と警察は撤退を余儀なくされました。今回はその反省を踏まえ、投入人員を大幅に増強。警察はソウル・京畿道・仁川から1000人以上、公捜処も40人以上の捜査員を動員し、最大2泊3日の長期戦も視野に入れた作戦を展開しています。
警護処との攻防、鍵を握るキム次長
官邸前では、与党「国民の力」議員らが「人間のバリケード」を築き、尹大統領の逮捕阻止に動いています。また、尹大統領の弁護団も令状執行の無効性を主張し、抵抗を続けています。
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警察は、1回目の執行を妨害した警護処関係者を特殊公務執行妨害容疑で立件するなど、関連捜査も進めています。特に、朴鍾俊(パク・ジョンジュン)前警護処長の後任として職務代行を務めるキム・ソンフン次長は、警察の出頭要求にも応じておらず、逮捕令状が発付された模様です。キム次長の身柄が確保されれば、警護処の組織的な抵抗も弱体化するとみられています。
公捜処と警察、緻密な作戦で臨む
1回目の執行では、警護処長らの現行犯逮捕をめぐり、公捜処と警察の間で意見の相違が生じました。今回は、令状執行の経験豊富な警察主導で計画を練り直し、抵抗する警護員は現行犯逮捕し、複数の警察署に分散護送する方針です。
車壁・鉄条網の要塞、突破なるか
警察は、車壁や鉄条網で要塞化された官邸への侵入方法など、具体的な作戦について入念に検討を重ねてきました。また、公捜処と警察は、警護処と国防部に対し、令状執行妨害には民事・刑事上の責任を問うと警告。一方で、協力する職員には善処する姿勢を示し、説得工作も展開しています。
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逮捕令状の有効期限も延長され、時間的余裕も生まれました。再発行された令状は旧正月連休前まで有効とされており、公捜処と警察は時間をかけて慎重に作戦を進める構えです。今回の執行が、韓国政局にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。
今後の展開に注目
尹大統領に対する逮捕令状執行は、韓国政界にとって大きな転換点となる可能性を秘めています。今後の展開次第では、政局の不安定化や国民のさらなる分断を招く恐れもあり、予断を許さない状況が続いています。著名な政治アナリスト、イ・ジョンフン氏は「今回の件は、韓国の民主主義と法の支配の試金石となるだろう」と述べています。