WHO(世界保健機関)は、トランプ前米大統領のWHO脱退表明を受け、財政難に備えた組織的な緊縮策に乗り出しました。テドロス事務局長は職員に対し、新規雇用の凍結や出張の制限などを指示するメールを送信。米国からの拠出金減少による財政への大打撃を最小限に抑えるため、組織全体で「費用削減と効率性向上」を図る方針です。
米国のWHO脱退で財政難の懸念
2020年、トランプ前大統領はWHOからの脱退を表明しました。米国はWHO最大の資金拠出国であり、2022~2023年には約2,000億円にものぼる拠出を行っていました。この巨額の資金を失うことは、WHOの活動に深刻な影響を与えることが懸念されていました。
WHO本部ビル
テドロス事務局長、組織的な緊縮策を指示
こうした状況を受け、テドロス事務局長は2020年7月23日、職員に向けてメールを送信。組織的な緊縮策の実施を指示しました。具体的な施策としては、一部地域を除く新規雇用の凍結、会議のオンライン化、技術支援のための出張の制限、IT設備などの調達制限や契約の見直しなどが挙げられます。
国際保健コンサルタントの山田健太郎氏は、「WHOの財政基盤は、加盟国の拠出金に大きく依存しています。米国の脱退は、WHOの活動に大きな支障をきたす可能性があり、今回の緊縮策は避けられない選択と言えるでしょう」と述べています。
緊縮策による影響と今後の展望
これらの緊縮策は、WHOの運営に一定の影響を与える可能性があります。しかし、財政の健全化を図るためには必要な措置と言えるでしょう。WHOは、引き続き加盟国との協力を強化し、持続可能な財政基盤の構築を目指していく方針です。
世界的な公衆衛生の向上に不可欠なWHOの活動が、今回の財政難によって阻害されることがないよう、国際社会全体の支援が求められています。
WHOの活動継続のための取り組み
WHOは、財政難を乗り越え、活動を継続していくために、様々な取り組みを進めています。例えば、新たな資金調達方法の模索や、支出の効率化などが挙げられます。また、各国政府や民間団体との連携強化も図っています。
今後のWHOの活動は、国際社会全体の協力が不可欠です。パンデミックへの対応や、健康格差の是正など、WHOが担う役割はますます重要性を増しています。