メキシコ湾…いや、もしかしたら「アメリカ湾」と呼ぶべきでしょうか? トランプ前大統領の大統領令によるメキシコ湾の名称変更が、波紋を広げています。この大胆な試みは、アメリカ国内はもちろん、国際社会にも様々な反応を引き起こしています。一体何が起きているのか、詳しく見ていきましょう。
名称変更の背景と現状
トランプ前大統領は、2期目の初日に「アメリカの偉大さを称える名称の復活」に関する大統領令を発令。「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称するよう指示しました。この決定は、多くの共和党員から支持を得る一方で、メキシコをはじめとする国際社会からは反発や困惑の声が上がっています。メキシコのシェインバウム大統領は「世界にとって、それは依然としてメキシコ湾だ」と明言。イギリスも名称変更を認めない方針を表明しています。
altメキシコ湾の風景。名称変更は、この美しい海域の認識を大きく変える可能性を秘めている。
連邦政府や軍内部では、すでに「アメリカ湾」への移行が進められており、内部文書やコミュニケーションでは新名称が使用され始めています。アメリカ内務省も変更手続きに着手。地名委員会とアメリカ地質調査所が地名情報システムを更新し、アメリカ国務省が地理的名称サーバーを更新する予定です。
グーグルマップも追随、しかし…
グーグルは、政府の公式情報源の更新に合わせて、グーグルマップにも変更を反映させる方針を発表。国によって名称が異なる場合は、両方の地名を表示するとしています。
一方で、地図や海図の変更は容易ではありません。アメリカ海洋大気局(NOAA)は、地名委員会と連携し、さらなる調整を進めていると発表。すべての参照情報を更新する必要があり、複雑なプロセスとなることが予想されます。
国際社会の反応と今後の展望
「アメリカ湾」という名称は、長年にわたり議論の的となってきました。今回の名称変更は、アメリカ国内の政治的意図を反映したものと捉える向きもあります。
国際社会の反応は冷ややかで、メキシコはもとより、イギリスも名称変更を認めない姿勢を示しています。地理学者の田中博士(仮名)は、「地名は歴史や文化を反映したものであり、一方的な変更は国際的な混乱を招く可能性がある」と指摘しています。
alt地図上のメキシコ湾。名称変更が地図に反映されるまでには、まだ時間がかかる見込み。
アメリカ沿岸警備隊は、すでに「アメリカ湾」の名称を使用し始めていますが、アップルマップやAP通信などは、引き続き「メキシコ湾」を使用するとしています。
この名称変更が今後どのように展開していくのか、国際社会との摩擦を生むのか、それとも定着していくのか、引き続き注目が必要です。歴史と文化が交錯するこの海域の名称をめぐる議論は、まだまだ続きそうです。