中村うさぎさん、難病と向き合う中で「女であること」からの解放

2013年に難病であるスティッフパーソン症候群の疑いで入院し、車椅子生活を送ることになった作家、中村うさぎさん。これまで「女性であること」をテーマに数々の作品を執筆してきた彼女ですが、病気を経験したことで、その考え方に大きな変化があったといいます。今回は、中村さんがどのように病と向き合い、「女らしさ」からの解放に至ったのか、その胸の内を紐解いていきます。

難病と向き合う日々:変化する価値観

「女性であること」をテーマに多くの読者を魅了してきた中村さん。スティッフパーソン症候群の疑いによる入院、そして車椅子生活という大きな転換期を経て、彼女の中で「女性であること」の価値観はどのように変化したのでしょうか?

入院直後は、女性としての美しさや価値を認められたいという気持ちが強く、いつか歩けるようになったら、また自由に外出したり、デートを楽しみたいという希望を抱いていたそうです。ステロイド治療の副作用による体重増加や容姿の変化に戸惑いを感じていた時期もあったといいます。しかし、現在では「女性としてどうこう」という意識は全くなくなったと語ります。

中村うさぎさんの写真中村うさぎさんの写真

美容整形シリコンの抜去:決断の背景

中村さんは、足の不自由により消費カロリーが減り、体重が増加しやすい体質になったといいます。60代に入り基礎代謝も低下する中で、食への欲求は変わらず、体型維持に悩んでいたそうです。そんな中、彼女は驚くべき決断を下します。それは、美容整形手術で胸に入れたシリコンを抜去することでした。

洋服が入らなくなったことがきっかけだったそうですが、多くの人はダイエットを考えるところを、彼女は「シリコンを抜けばいい」という発想に至ったといいます。この大胆な決断の背景には、どのような心境の変化があったのでしょうか?

シリコン抜去への迷い:心境の変化と「女らしさ」からの解放

シリコンの抜去という決断に、迷いはなかったのでしょうか?中村さんは、きっぱりと「なかった」と答えます。ひとりでトイレに行けなくなり、オムツ生活を送る中で、今後恋愛や性的な関係を持つことはないだろうと悟ったといいます。そのため、胸の存在意義を感じなくなり、抜去を決意したそうです。

入院直後は、デートへの憧れや異性との関係への期待も抱いていた中村さん。しかし、オムツをしている現実とのギャップに葛藤する夢を見るなど、心境は徐々に変化していきました。

中村うさぎさんの美容整形BEFORE→AFTER中村うさぎさんの美容整形BEFORE→AFTER

新たな価値観:ありのままを受け入れる

難病との向き合いの中で、中村さんは「女性らしさ」への執着を手放し、ありのままの自分を受け入れる強さを身につけました。外見よりも心の豊かさ、そして自分らしく生きることを大切にする、彼女の生き方は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

中村うさぎさんのインタビューは、私たちに「真の美しさ」とは何かを問いかけます。それは、外見ではなく、内面から湧き出る強さ、そして自分らしく生きる覚悟なのかもしれません。