中高年、賃上げの波に乗り遅れ?待遇改善への切実な声

近年の春闘では賃上げムードが高まっているものの、その恩恵を十分に受けていないと感じる中高年層も多いようです。AERA dot.編集部が行ったアンケート調査によると、若手と比較して待遇面で「置き去り」と感じている中高年層は8割近くに達しました。本記事では、アンケート結果を紐解きながら、中高年層の現状と課題を探ります。

バブル崩壊後の就職氷河期世代、苦難の道のり

今回のアンケートでは、回答者の6割が1993年から2005年頃の就職氷河期に就職活動を行った世代でした。厳しい経済状況下で社会人生活をスタートさせた彼らは、景気回復の恩恵を十分に受けられずに今日に至っている現状が浮き彫りになりました。

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賃金への不満、転職経験者で顕著に

現在の給与への満足度について尋ねたところ、「とても満足している」「まずまず満足している」と回答した人は合わせて3割にとどまり、「やや不満だ」「不満だ」と回答した人が5割を超えました。特に、転職経験者においては不満の声が大きく、異なる業界への転職者では6割、同じ業界内での転職者でも5割以上が不満を抱えていることがわかりました。

長年の功績、正当な評価を

一方、新卒から同じ会社に勤めている人でも4割が給与に不満を感じているという結果が出ています。企業は、長年会社に貢献してきたベテラン社員の功績を正当に評価し、適切な待遇改善を行う必要があると言えるでしょう。

若手重視の風潮、中高年の不安

アンケートでは、若手と比較して待遇面で「置き去り」になっていると感じているかについても質問しました。「とてもそう思う」と回答した人が6割近くに上り、「ときどき思う」と合わせると8割近くに達しました。「就職氷河期世代」や「ロストジェネレーション」と呼ばれ、上の世代と下の世代の橋渡し役を担ってきたにもかかわらず、正当な評価を受けていないという思いが根底にあるのではないでしょうか。

中高年層の活躍促進、日本経済の活性化へ

中高年層は豊富な経験と知識を持ち、企業にとって貴重な人材です。彼らが能力を最大限に発揮できる環境を整備することは、企業の成長だけでなく、日本経済全体の活性化にも繋がるはずです。企業は、賃金だけでなく、キャリアアップの機会やスキルアップの支援など、多角的な視点から中高年層の待遇改善に取り組むことが求められます。 人事コンサルタントの山田一郎氏は、「中高年社員のモチベーション向上は、企業全体の生産性向上に直結する」と指摘しています。(※架空の人物によるコメント)

今後の春闘交渉や企業の人事戦略において、中高年層の声に真摯に耳を傾け、より公正で活力ある職場環境の実現が期待されます。