沖縄唯一の指定暴力団「旭琉會」新体制発足、5年の空白を経て二代目会長誕生

沖縄で唯一の指定暴力団「旭琉會」が、ついに新体制へと移行しました。2月8日、北中城村にある旭琉會本部で厳粛な盃儀式が行われ、三代目富永一家の糸数真総長が二代目会長に就任。2019年7月に初代会長の富永清氏が死去してから5年以上もの空白期間を経て、新たなリーダーが誕生したのです。

長期に渡るトップ不在、その背景とは?

旭琉會がこれほど長期に渡りトップ不在の状態を続けたことは異例です。通常、暴力団組織は規律維持のため、速やかに後継者を決定し新体制を発足させます。旭琉會は代替わりの代わりに「代表代行」という役職を設けて対応してきましたが、今回、組織内調整と世代交代が完了し、ようやく代替わりに至ったのです。この異例の事態は、沖縄県警だけでなく、警視庁を含む県外捜査機関からも注目を集めました。

旭琉會、分裂と抗争の歴史

旭琉會が現在の形に至るまでには、血で血を洗う抗争の歴史がありました。2011年に沖縄唯一の指定暴力団として統合される以前、旭琉會は沖縄旭琉会と三代目旭琉会の二派に分裂し、激しい対立を繰り返していました。1990年、内部抗争により先代の富永清会長が三代目旭琉会から絶縁処分を受け、沖縄旭琉会を結成。これが分裂の始まりでした。分裂直後には多数の死傷者を出す抗争が激化し、一般市民や警察官までもが巻き込まれる痛ましい事件も発生。この抗争は、1992年の暴力団対策法施行のきっかけの一つにもなったと言われています。

沖縄市のゲート通り沖縄市のゲート通り

5年の歳月を経て、新体制発足への期待と不安

今回の代替わりは、旭琉會にとって大きな転換期と言えるでしょう。新会長の下、組織はどのような方向へ進むのか、県内外の治安にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。暴力団問題に詳しい専門家A氏(仮名)は、「新体制発足は、組織の安定化につながる可能性がある一方で、新たな抗争の火種となるリスクも孕んでいる」と指摘します。

警察当局の警戒続く

沖縄県警は、新体制発足後も旭琉會の動向を注視し、暴力団排除活動を強化していく方針です。組織犯罪対策課のB警部(仮名)は、「市民の安全を守るため、暴力団の活動を徹底的に監視し、違法行為には厳正に対処していく」と述べています。

旭琉會本部旭琉會本部

沖縄の治安維持に向けて

旭琉會の新体制発足は、沖縄の治安にとって重要な局面を迎えたことを意味します。警察当局の継続的な監視と、地域社会の協力が不可欠です。暴力団排除に向けた取り組みを強化し、安全で安心な社会の実現を目指していく必要があります。