琵琶湖バラバラ殺人事件:17年の沈黙を破り、ついに真相解明へ

2008年に滋賀県琵琶湖周辺で発生した凄惨なバラバラ殺人事件。17年間未解決だったこの事件が、ついに大きな進展を見せました。2025年2月27日、滋賀県警は杠共芳受刑者(74)を逮捕。すでに別の殺人事件で服役中の杠受刑者ですが、今回の逮捕は17年前の未解決事件に終止符を打つ重要な一歩となります。

17年の時を経て、再び動き出した捜査の糸口

2008年5月から6月にかけて、琵琶湖周辺の6カ所で切断された人体の一部が発見されました。被害者は当時39歳だった川本秀行さん。杠受刑者とは建設会社の元同僚で、同じ宿舎で生活し、親しい間柄だったといいます。川本さんが失踪した直後、杠受刑者は「川本さんは盗みで警察に追われている」と周囲に語り、川本さんの車を乗り回していたという証言も。当時、県警は懸命の捜査を続けましたが、遺体の身元特定には至らず、事件は長い迷宮入りへと向かうかに見えました。

送検時の杠共芳容疑者送検時の杠共芳容疑者

転機となった「草津事件」との関連性

事件解決の転機となったのは、2018年に発生した別の殺人事件、通称「草津事件」です。杠受刑者は、当時経営していた焼肉店で知人の中川直さん(当時69歳)を殺害し、遺体を遺棄した罪で逮捕、懲役25年の判決を受けました。この「草津事件」の捜査過程で、杠受刑者の周辺調査が行われ、行方不明になっていた川本さんの存在が浮上。DNA鑑定などにより、琵琶湖で発見された遺体が川本さんであることが確認されました。

杠受刑者の二つの顔:元同僚との複雑な関係

杠受刑者は建設会社を退職後、滋賀県守山市内で焼肉店を経営していました。中川さんとは過去に建設現場で知り合った友人関係でしたが、家賃を巡るトラブルも抱えていたようです。一方、川本さんとは同じ宿舎で生活するなど親しい関係でしたが、失踪後には偽りの情報を流布していたことが明らかになっています。二人の被害者との複雑な人間関係が、事件の背景に潜んでいる可能性も考えられます。

謎の「人骨」が見つかった、杠容疑者の焼き肉店謎の「人骨」が見つかった、杠容疑者の焼き肉店

17年の歳月を経て、ついに逮捕へ

「草津事件」の判決確定後も、滋賀県警は琵琶湖事件の捜査を継続。岡山刑務所で服役中の杠受刑者に任意で事情聴取を行うなど、慎重に証拠を積み重ねてきました。そしてついに2025年2月、17年の沈黙を破り、杠受刑者を逮捕。事件の全容解明に向け、捜査は新たな局面を迎えています。

専門家(犯罪心理学者、A氏)は、「長期間の未解決事件の解決は、遺族にとって大きな意味を持つ。事件の真相が明らかになることで、ようやく心の傷を癒すことができるだろう」と述べています。今後の捜査の進展に注目が集まります。