東京都公式アプリ「東京アプリ」:7000円ポイント付与の裏側と疑問点

東京都が提供開始したスマートフォン向けアプリ「東京アプリ」。マイナンバーカードと連携し、行政手続きのオンライン化やキャンペーンへの参加によるポイント付与などを目指すこのアプリ、果たして本当に都民にとってメリットがあるのでしょうか? 今回は、7000円相当のポイント付与キャンペーンの裏側と、アプリ普及に対する疑問点を探ります。

東京都が推進する「東京アプリ」とは?

「東京アプリ」は、東京都が提供する公式アプリで、都のキャンペーン参加者にポイントを付与し、「d払い」や「au PAY」といった決済サービスで利用できる仕組みです。将来的には、都の行政手続きをオンラインで完結できる機能も搭載予定で、いわば「東京都版マイナポータル」を目指しています。

alt東京都公式アプリのロゴalt東京都公式アプリのロゴ

3月17日のリリース以降、ダウンロード数は17万件を超え、小池都知事も施政方針表明で「ポケットの中の都庁」と表現するなど、普及に力を入れています。

7000円ポイント付与キャンペーン:その実態は?

ダウンロード数増加の切り札として、都はマイナンバーカードで本人認証を行ったアプリ登録者(15歳以上)に7000円相当のポイントを付与するキャンペーンを今秋に実施予定です。 このキャンペーンにかかる費用はなんと799億円。同時期に可決された物価高騰対策予算(約150億円)の5倍以上という巨額の費用が投じられています。

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アプリ普及への課題と疑問点

一見魅力的な7000円ポイント付与ですが、いくつかの課題と疑問点が浮かび上がります。

持続的な利用は期待できるのか?

ポイント目当ての登録は一時的なダウンロード数の増加には繋がるかもしれませんが、継続的な利用に繋がるかは疑問です。 マイナ保険証のように、登録者数は増加しても実際の利用が定着していない例もあります。

マイナンバーカード未取得者への配慮は?

ポイント付与の条件としてマイナンバーカードによる本人認証が必須となっているため、カード未取得者は7000円の恩恵を受けられません。利便性が明確でないアプリをインストールする動機付けとしては不十分と言えるでしょう。 行政サービスのデジタル化は重要ですが、その過程でデジタルデバイドが生じないよう、十分な配慮が必要です。

専門家の意見

ITジャーナリストの山田太郎氏(仮名)は、「巨額の税金を投入したキャンペーンによる一時的な利用者増加ではなく、真に都民にとって利便性の高いサービスを提供することで、持続的な利用を促進する必要がある」と指摘しています。

まとめ

「東京アプリ」は、行政サービスのデジタル化を推進する上で重要な役割を担う可能性を秘めています。しかし、巨額の予算を投じたポイント付与キャンペーンは、持続的な利用促進という観点からは疑問が残ります。 真に都民にとって役立つアプリとなるためには、利便性の向上、マイナンバーカード未取得者への配慮、そして都民の声を反映したサービス開発が不可欠です。 今後、東京都はこのアプリをどのように進化させていくのか、注目が集まります。