少子化問題が深刻化する日本。日本大学の末冨芳教授らの研究グループによる調査で、15歳〜39歳の男女の52%が「子どもはおらず、子どもは育てたくない」と回答したという衝撃的な結果が明らかになりました。 この現状を受け、こども家庭庁の責任を問う声も上がっています。一体何が若者を子育てから遠ざけているのでしょうか?この記事では、その背景にある社会問題、経済的な不安、そして意識の変化について深く掘り下げていきます。
経済的な不安が子育てへの壁に?
alt
厚生労働省が発表した2023年の「人口動態統計」によると、合計特殊出生率は1.20と過去最低を記録。出生数も72万988人と、統計開始以来最少となりました。こうした状況下で、若者の半数以上が子育てに消極的であるという事実は、日本の未来にとって大きな課題と言えるでしょう。
独身研究家の荒川和久氏は、経済的な不安が子育てへの壁となっていると指摘します。「特に年収300万円台の経済中間層の婚姻率が劇的に低下していることが問題です。10〜15年前は300万円台でも結婚は可能でしたが、現在の婚活市場では厳しい現実があります。」
今回の調査でも、年収299万円未満、または世帯年収399万円未満の層では、「子どもを育てたくない」と回答した割合が6割に達しています。経済的な余裕のなさが、子育てへの躊躇につながっていることは明らかです。
中間層の苦境:経済格差が子育てを阻む
荒川氏はさらに、「これは単なる貧困化ではなく、中間層が苦境に立たされていることが原因です。中間層が最も苦しい状況にあるため、結婚や子育てといった人生設計を諦めざるを得ないのです。」と述べています。
alt
経済格差の拡大が、中間層の生活を圧迫し、子育てへの負担感を増大させていると言えるでしょう。子育て支援策の拡充だけでなく、経済格差の是正も重要な課題です。
意識の変化:子育ては「必須」ではなくなった?
子育てに対する意識の変化も、少子化の要因の一つと考えられます。かつては「結婚=出産」という考え方が一般的でしたが、現代社会では多様なライフスタイルが認められるようになり、子育ては「必須」ではなくなってきました。
ワークライフバランスの重視:仕事と子育ての両立の難しさ
共働き世帯の増加に伴い、仕事と子育ての両立の難しさも指摘されています。長時間労働や育児負担の偏りなど、子育て世代のワークライフバランスの実現は大きな課題です。
まとめ:子育てしやすい社会の実現に向けて
若者の「子どもを育てたくない」という声は、社会全体で真剣に受け止め、対策を講じる必要があります。経済的な支援の拡充、ワークライフバランスの改善、そして多様なライフスタイルへの理解など、子育てしやすい社会の実現に向けて、社会全体で取り組んでいくことが重要です。