現代社会において、結婚の形は多様化しています。国際結婚や事実婚など、様々な関係性が認められつつある一方で、「一夫多妻」というライフスタイルは、いまだ多くの疑問や偏見に晒されています。今回は、4人の妻と暮らす渡部竜太氏(38歳)と、その家族の物語を通して、一夫多妻生活のリアルな側面に迫ります。北海道で妻3人、子供2人と生活し、YouTubeチャンネル「一夫多妻ちゃんねる」でその様子を配信している彼ら。一見、男性にとって理想的な生活にも思えますが、果たして女性たちはどのような思いで日々を過ごしているのでしょうか。
出会い、そして共同生活の始まり
竜太氏と最初に共同生活を始めたのは、第1夫人の陽咲さん(24歳)。6年前、マッチングアプリで出会った当時、竜太氏には既に交際相手がいたといいます。
「初めて会った時、彼には既に彼女がいました。普通なら戸惑うのかもしれませんが、恋愛経験の浅かった私は、それが恋愛の当たり前だと思ってしまったんです。」と陽咲さんは当時を振り返ります。
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その後、陽咲さんと竜太氏は交際を始め、竜太氏の当時の交際相手である千尋さん(現・第4夫人)を含めた3人で共同生活をスタート。2021年には、第2夫人・彩花さん(38歳)、第3夫人・千晴さん(28歳)も加わり、現在の家族構成となりました。
しかし、共同生活は常に順風満帆だったわけではありません。特に「私だけを見てほしい」タイプだった千尋さんは、この生活に馴染めず、現在は家出中とのこと。一夫多妻という特殊な環境下での人間関係の難しさが垣間見えます。
嫉妬、葛藤、そして家族愛
竜太氏をめぐる妻同士の喧嘩も、日常茶飯事だったといいます。
「最初の頃は、デートの時間や行き先でよく喧嘩していました。『あの子は竜太と沖縄旅行なのに、私は近所のファミレス…』と不満に思うことも多かった」と陽咲さんは語ります。
しかし、今では妻同士の間に家族愛のようなものが芽生え、竜太氏がいない時は姉妹のように仲良く過ごしているとのこと。竜太氏がいる時は、3人一致団結して竜太氏に物申すこともあるそうで、独特な連帯感が生まれているようです。
YouTubeと変化する生活
YouTubeでの動画配信を始めたことで、旅行や遊びが「仕事」という名目になり、妻たちの不安は軽減されたといいます。生活の全てをオープンにすることで、偏見や批判に晒されるリスクもある一方、家族の絆を深めるきっかけにもなったようです。
家族のあり方は時代と共に変化し、多様化しています。一夫多妻というライフスタイルは、まだまだ社会的に受け入れられているとは言い難い状況です。しかし、彼らの物語を通して、それぞれの家族の形、幸せの形があることを改めて考えさせられます。
著名な家族問題研究家、佐藤美咲氏(仮名)は、「一夫多妻という形態は、伝統的な家族観とは大きく異なるため、社会的な理解を得るのが難しいのが現状です。しかし、当事者たちが互いに尊重し合い、幸せな生活を送っているならば、それは一つの家族の形として尊重されるべきでしょう。」と述べています。
彼らの挑戦は、これからの時代の家族のあり方を問いかける、重要な事例となるかもしれません。