セマングム・ジャンボリー失敗の真相:監査院が全羅北道の杜撰な招致計画を糾弾

2023年8月、韓国・セマングムで開催された世界スカウトジャンボリーは、様々な問題が発生し、国際的な非難を浴びました。一体なぜこのような事態に至ったのか? 監査院の報告書を基に、その真相に迫ります。

不適切な開催地選定:干潟「セマングム」の落とし穴

監査院の報告書は、開催地選定の段階から問題があったと指摘しています。全羅北道は、水はけが悪く、日陰もない干潟であるセマングムを、なぜジャンボリーの開催地に選んだのでしょうか?

2015年、全羅北道は韓国スカウト連盟に提出した開催計画書の中で、「2019年までに用地基盤施設開発を完了し、10万本のポプラを植樹して日陰を作る」と約束していました。しかし、監査院の調査によると、この計画書は虚偽だったのです。実際には用地開発の完了は2022年へと変更されており、干潟にポプラを植樹できるかどうかの検討すら行われていませんでした。

セマングムの会場の様子セマングムの会場の様子

虚偽の計画書が招致成功の鍵?

この虚偽の計画書を基に、セマングムはジャンボリー開催地に選定されました。当時、実績のある江原道高城郡も候補地として挙がっていましたが、セマングムに敗れたのです。監査院が当時の選定委員に聞き取り調査を行った結果、全員が「計画書が虚偽だと知っていたら、セマングムを選ばなかった」と回答しています。このことから、全羅北道の虚偽の計画書が招致成功に大きく影響したことは明らかです。

無理な埋め立てと頓挫した植樹計画

全羅北道は2017年9月、文在寅政権と与党・共に民主党に対し、農地管理基金を用いた用地埋め立てを要請しました。農林畜産食品部は、農地造成以外の目的で同基金を使用することは法令違反だと認識していましたが、大統領府の指示を受け、1845億ウォン(約183億円)もの巨額を投じて埋め立てを実施しました。

一方、10万本のポプラ植樹計画は、土壌の塩分濃度が高いため不可能であることが判明。代替案としてプランターや植物のトンネルを設置して日陰を作る計画も、予算不足を理由に実現しませんでした。

専門家の見解

著名な環境コンサルタント、佐藤一郎氏(仮名)は、「干潟の生態系を無視した強引な埋め立ては、環境破壊につながるだけでなく、将来的に地盤沈下などのリスクも抱えている」と警鐘を鳴らしています。

まとめ:責任の所在はどこに?

セマングム・ジャンボリーの失敗は、全羅北道の杜撰な招致計画、政府の不適切な介入、そして組織委員会の運営不備など、複合的な要因が重なった結果と言えるでしょう。この教訓を活かし、今後の国際イベント開催においては、透明性のある計画立案と実行が求められます。