NHK連続テレビ小説『あんぱん』第2週「フシアワセさん今日は」では、主人公・嵩(北村匠海)と母・登美子(松嶋菜々子)の別れが描かれ、視聴者に衝撃を与えました。なぜ登美子は愛する息子を置いて家を出ていったのか、その理由を様々な角度から考察してみましょう。
登美子の置かれた環境と苦悩
夫・清(二宮和也)を亡くした登美子は、幼い嵩を連れて御免与町にある義兄・寛(竹野内豊)の家を訪れます。当初は親子で世話になるつもりだったようですが、都会育ちの彼女にとって、御免与町の生活は馴染みにくいものでした。
噂の的となる暮らしぶり
都会的で洗練された登美子は、御免与町ではしばしば人々の噂の的になっていました。フォークとナイフで食事をするなど、当時の地方の暮らしとは異なる習慣が、周囲との摩擦を生んでいたのかもしれません。 料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「当時の地方では、西洋の文化を取り入れることは珍しく、好奇の目で見られることも多かったでしょう」と語っています。
alt="北村匠海演じる主人公の嵩と松嶋菜々子演じる母・登美子が食卓を囲むシーン。二人の表情にはどこか影がある。"
義姉との確執
義姉・千代子(戸田菜穂)との関係も、登美子にとって大きな負担だったと考えられます。千代子の皮肉や、どこか噛み合わない会話は、彼女を孤独に追いやっていたのではないでしょうか。家を出る際も、寛にしか告げなかったことから、千代子への不信感が窺えます。
再婚という選択
第3回で、嵩が描いた家族の絵を見た登美子が「前を向かなきゃ」と呟くシーンがあります。この言葉は、清の死を受け入れ、新たな人生を歩む決意を表しているようにも見えます。そして、その新たな人生には、再婚という選択肢が含まれていたのかもしれません。
手紙に残された真実
嵩には「すぐに帰る」と嘘をつき、置き手紙には「再婚をする」と記して御免与町を去った登美子。この行動は、彼女がいかに追い詰められていたかを示していると言えるでしょう。「当時の女性にとって、再婚は大きな決断でした。特に子供がいる場合は、様々な葛藤があったはずです」と、歴史研究家の佐藤一郎さん(仮名)は指摘します。
複雑な母心
嵩を置いていくという決断は、決して容易なものではなかったはずです。手紙と嘘で息子をつなぎとめたのは、愛情と罪悪感の間で揺れ動く、複雑な母心ゆえだったのではないでしょうか。
女性としての幸せと母性の間で
登美子は、嵩を愛していながらも、同時に「女性としての幸せ」を求めていたと考えられます。東京での華やかな暮らしから一変、見知らぬ土地での生活は、彼女にとって大きな苦痛だったのでしょう。
終わりに
登美子が嵩を置いて去った理由は、様々な要因が複雑に絡み合った結果だと考えられます。周囲の環境、再婚への希望、そして母としての葛藤。彼女の苦悩と決断は、現代社会にも通じる普遍的なテーマと言えるでしょう。