佳子内親王殿下は、日本とブラジルの外交関係樹立130周年を記念し、ブラジル政府の招待を受けて6月5日にブラジル公式訪問を開始されました。10日間の滞在中、サンパウロ、リオデジャネイロなどブラジル各地を巡り、両国の友好親善に貢献されます。今回の佳子さまのブラジル訪問は、長きにわたる日伯関係の歴史における重要な節目となります。
訪問初日、イビラプエラ公園へ
5日の午後、佳子さまはサンパウロ市のイビラプエラ公園にある日本館と日本人移民の開拓先没者慰霊碑をご訪問になりました。日本館は1954年にサンパウロ市制400周年を記念して寄贈されたもので、第二次世界大戦後に敵対関係から友好へと移行した両国の和解を象徴する記念碑としての意味合いも持ちます。
ブラジル日本文化福祉協会(文協)代表のホベルト・ヨシヒロ・ニシオ氏は、日本館が「この市におけるブラジルと日本を結ぶ最初の架け橋」であると説明しています。日本館は過去にも皇室の方々のご訪問を受けており、1967年には当時の皇太子ご夫妻(上皇ご夫妻)が、2015年には秋篠宮ご夫妻が訪問されています。
特に2015年の秋篠宮ご夫妻の訪問時には、ブラジルの国花である白いイペーの木が植樹されました。今回の訪問で、佳子さまはその白いイペーの木の隣に、ブラジルでもよく知られる桜の樹を植えられました。ニシオ氏は、佳子さまが「桜が咲く頃にブラジルに戻って来たい」と述べられたことに触れ、「3年後には日本人ブラジル移民120周年を迎えるので、ぜひまたお越しくださいとお伝えしました」と語っています。
ブラジル訪問中の佳子さま、サンパウロの文協をご訪問(6月6日)
日伯両国の絆と経済関係
日本とブラジルは1895年11月5日に調印された日伯修好通商航海条約により外交関係を樹立しました。ブラジル外務省の情報によると、日本には約21万1千人のブラジル人コミュニティがあり、これは世界で5番目の規模です。一方、ブラジルの日系人コミュニティは200万人以上と、日本国外では世界最大の規模を誇ります。
世界有数の経済大国である日本は、ブラジルにとって重要な国際的な投資国です。外務省によると、日本の投資は自動車、電気材料、鉄鋼など多岐にわたります。ブラジルの対日輸出は鉄鉱石、鶏肉、コーヒーなどが主で、日本からの輸入は自動車部品や集積回路などの工業製品が中心となっています。
直近では、今年3月にルイス・イナーシオ・ルーラ・ダ・シウヴァ大統領が日本を訪問しました。大統領は、過去10年間で失われた60億ドルの貿易損失回復を目指し、ブラジル産牛肉の市場開放を推進する意向を表明しています。
記念行事と今後の展望
日伯国交樹立記念日を記念し、ブラジル下院では6月11日に公式セッションが開催される予定です。
佳子さまの今回のブラジル訪問は、日伯両国の長年にわたる友好関係と、広範な分野における協力関係の重要性を改めて示すものです。両国の歴史的な絆と、未来に向けた協力関係のさらなる発展が期待されます。
(記事提供/Agência Brasil、構成/麻生雅人)