ロサンゼルスで不法移民の摘発をきっかけとした抗議デモが数日続いたことを受け、ドナルド・トランプ米大統領は10日、同市が「外敵に侵略されている」と主張し、「解放する」と表明した。
強硬演説とカリフォルニア州知事の反発
トランプ氏は、国内最大級の陸軍基地の一つであるノースカロライナ州のフォートブラッグ基地で行った強硬な演説の中で、抗議デモの参加者を「動物」と呼び、集まった兵士らにカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事とジョー・バイデン前大統領へのブーイングを促した。 カリフォルニア州当局は、今回の部隊派遣は事態を悪化させるだけで不要だと批判しているが、トランプ氏は海兵隊員700人を含む数千人の部隊をロサンゼルスに派遣した。これに対し、ニューサム知事はトランプ氏の行動を「独裁的」と強く非難した。
米カリフォルニア州ロサンゼルス、不法移民の摘発に抗議するデモ参加者と治安部隊の衝突(2025年6月7日撮影)
「外敵の侵略」論と国家主権の主張
トランプ氏は兵士らに対し、「この無政府状態は容認できない。連邦捜査官への攻撃を許さない。米国の都市が外敵に侵略・征服されるのは許さない」と強調した。彼は、「カリフォルニア州で起きているのは、平和と公共の秩序、そして国家主権に対する本格的な攻撃だ。外国の旗を掲げた暴徒たちが、外国によるわが国への侵略を継続することを目的として実行しているものだ」と訴えた。
「制御されない移民」がもたらす混乱と欧州への警鐘
トランプ氏は、今回の抗議デモを「制御されていない不法移民」と結び付け、この問題で繰り返し批判してきた欧州に対しても行動を促した。「今や全世界が目にしているように、制御されていない移民は混沌、機能不全、無秩序をもたらす」と主張し、「欧州でも同じことが起きている。手遅れになる前に、行動を起こすべきだ」と呼び掛けた。
米ロサンゼルスで発生した不法移民関連の抗議デモに対し、トランプ大統領は「外敵による侵略」と断じ、部隊派遣を含む強硬姿勢を示した。カリフォルニア州当局との対立が深まる中、大統領は「制御されていない移民」が引き起こす混乱への警告を、欧州を含む全世界に向けて発信した。この事態は、米国における移民問題の根深さと、それに伴う政治的緊張の高まりを浮き彫りにしている。
AFPBB News / https://news.yahoo.co.jp/articles/376e1198f5e5dd1cc5e6a180ebebe0d8807b9031