住みよさランキング2025 人口規模別分析:10万人未満の安心度、10万人以上の富裕度

各自治体の「住みよさ」を多角的な指標から評価し、順位付けを行う「住みよさランキング」。株式会社東洋経済新報社が発表する2025年版では、対象となる全国812市区を人口規模で二つのグループに分け、新たな視点での分析が試みられました。これは、人口10万人未満の534市と、人口10万人以上の278市区という基準で行われ、それぞれのグループ内での比較を通じて、人口規模が住みよさの構成要素にどのように影響するかを明らかにすることを目的としています。

分析手法と評価基準

本ランキングは、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」という四つのカテゴリに基づき、合計20以上の詳細な指標を用いて評価されています。各指標の偏差値を算出し、その平均値を総合評価として順位を決定します。従来のエリア別評価では、人口規模が大きく異なる自治体が混在していましたが、今回のように人口規模でグループ分けすることで、各規模の都市が持つ固有の特徴や傾向差がより鮮明に浮かび上がります。評価基準の詳細は、東洋経済オンライン上の関連解説で詳しく説明されています。

人口規模で異なる「住みよさ」の特徴

グループ別の平均値を比較した結果、人口規模による明確な特徴差が見られました。

人口10万人未満のグループは、「安心度」に関するすべての指標において、人口10万人以上のグループを上回る傾向が確認されました。具体的には、医療や福祉サービスの充実度、そして「1住宅当たり延べ床面積」や「都市計画区域人口当たり都市公園面積」といった指標が高い傾向にあります。これは、比較的規模の小さい自治体においては、ゆとりある住居空間や緑豊かな環境が享受しやすく、地域に根差した安心な暮らしを支えるサービスが手厚い可能性を示唆しています。

一方、人口10万人以上のグループは、「富裕度」に関するすべての指標で優位に立ちました。「財政力指数」、「納税義務者1人当たり所得」、「住宅地平均地価」がいずれも人口10万人未満のグループを大きく上回っています。これは、人口が多く経済活動が活発な都市部ほど、自治体の経済基盤が強固であり、住民の所得水準が高く、資産価値も高い傾向にあることを反映しています。しかしながら、こうした活発な経済・社会活動は、転入者の増加や昼間人口の多さといった副次的な影響として、「人口当たり刑法犯認知件数」や「人口当たり交通事故件数」が高い傾向にも繋がっています。

日本の都市風景日本の都市風景

結論

今回の人口規模別分析により、「住みよさ」が人口規模によって異なる側面で評価される傾向が明らかになりました。人口10万人未満の都市は「安心」や「快適な居住環境」に強みを持つ一方、人口10万人以上の都市は「経済的な豊かさ」や「利便性」に関連する「富裕度」において高い評価を得る傾向があります。この分析は、自身のライフスタイルや優先順位に合った移住先や居住地を検討する上で、人口規模という視点が重要な判断材料となることを示唆しています。


参考文献: